最近の麺類は、小麦の麺以外の選択肢が増えてきました。うどん、そば、中華麺と麺類の多くは、小麦粉を主な素材として作られていますが、他の食材で作る麺が増えています。大豆や白インゲン豆を粉にした麺や、こんにゃく粉を加えたものもあります。また、麦の外皮であるふすまや米粉を加えたもの(米粉の麺は、フォーやビーフンなど以前からあるものもあります)。人の好みや体調、要望に合わせた多様性があるのが、最近の麺事情です。
大豆を加えた麺は、糖質を抑えたい人やタンパク質を増やしたい人にはお勧めです。こんにゃく粉やふすまを加えたものは、食物繊維を増やし、ダイエットや血糖値上昇を抑える働きがあります。白インゲン豆や米粉を使った麺は、グルテンフリーに対応しています。
グルテンフリーは、小麦や大麦などに含まれるタンパク質「グルテン」で炎症が起こる自己免疫疾患(セリアック病)に対する食事療法で、「小麦に含まれるタンパク質を除去する方法」です。セリアック病は日本人ではあまり症例がなく、有病率は0.05%といわれていますが、グルテンフリーはここ数年、日本でも流行しています。この背景には、「小麦粉はよくわからないけど悪いもの」とする心理的理由のほか、深刻な問題として「小麦アレルギー」があります。
アレルギーといえば、この時期大変な花粉症を想像しますが、食物アレルギーも増加傾向です。特に大人の食物アレルギーは「小麦、魚類、甲殻類、果物類」が多く、一度発症すると治療が難しい疾患です。こうした食物アレルギーに対して、素材を小麦粉に限らない麺の多様性は、選択肢が増えてうれしい流れです。
東京の中心地、東京駅のラーメンストリートにあるラーメン店「ソラノイロNIPPON」では、多くの人を受け入れる玄関口として、ベジソバや、ビーガンなど多様性のあるラーメンが展開されています。そのひとつが『グルテンフリー塩ラーメン』(税込1300円)です。
鶏ベースの澄んだスープにやや太めの玄米麺。トッピングはバランスよく、ゆで卵、鶏胸肉のチャーシュー、ミニトマト、ブロッコリー、水菜がのっています。玄米麺は、島根県のグルテンフリー食品販売「宮内舎(みやうちや)」の麺を使用し、小麦アレルギーに対応しています。もちもちの食感に玄米のいい香りが口に広がる麺で、グルテンフリーやアレルギー対策とは関係なくても、この麺を選択したくなります。
麺の多様性は嗜好からの選択も増えていきそうです。新年度は小麦麺だけでなく、新しい麺を試すのはいかがでしょうか。