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高カカオチョコで冬の血管を元気に!豊富なポリフェノール、認知機能や便秘改善も

高カカオチョコで冬の血管を元気に!豊富なポリフェノール、認知機能や便秘改善も
予防・健康
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チョコレートといえば、バレンタインの時期のドキドキとした胸のときめきを思い出す方も多いはず。年齢とともに、その胸の高鳴りは、恋ではなく不整脈に変わってくる可能性も。健康意識が高まってきたここ数年、バレンタインに向けて、ポリフェノールが豊富な高カカオチョコレートで、気持ちも身体もケアしてみてはいかがでしょうか。

バレンタインデーの時期に意識したいのは、寒さでギュッと縮こまる「血管」です。厚生労働省の令和3(2021)年人口動態統計月報年計によると、日本人の3大死因は「悪性新生物(がん)」「心疾患」「老衰」です。心疾患は、狭心症や心筋梗塞など、冠動脈の血管が詰まる病気です。また、生活習慣病である高血圧、脂質異常症、糖尿病などは、全て「血管の疾患」といえます。

若さを保つためにも血管は重要です。余計な糖が体内のたんぱく質と結びつき変性させ、老化物質であるAGEs(終末糖化産物)を作り出す「糖化」は、シワやシミを作るだけでなく、血管壁も変性させます。また、体内に生じる活性酸素によって、コレステロールを酸化させ、血管を傷つけ血管壁に沈着させる「酸化」も血管に負担をかける要因です。健康的な毎日を送るために、血管を元気にし、酸素や栄養を体中に運び、不要なものをスムーズに排泄できるようにすることが大切です。

血管を若返らせるために必要な栄養素として「ポリフェノール」が注目されています。ポリフェノールは、植物が光合成をする際に生成される物質で、色素や香り、苦味などに含まれます。代表的なもので、赤ワインやお茶、コーヒーなどがありますが、チョコレートやココアなどカカオ豆に含まれる「カカオポリフェノール」は、それらに比べ含有量が高いことがわかっています。

この時期、街ではたくさんの種類のチョコレートが販売されています。日本のバレンタインは「女性から男性にチョコレートを渡し、愛の告白をする日」として有名ですが、最近では、自分へのご褒美として、普段は買えない高級なチョコレートや、この時期限定で展開される海外の人気チョコレートを買う方も増えているようです。

現代では、気軽に食べられているチョコレートですが、原料であるカカオ豆は、古代「神々の食べ物」として珍重されていました。中世のメソアメリカでは、儀式の捧げ物や薬のほか、貨幣としても利用されています。この時代からカカオには薬効があるとして認知されていたようですが、近年、さらに「カカオポリフェノール」の効果が注目されています。

発酵、乾燥させたカカオ豆からカカオニブを取り出して焙煎し、胚乳をすり潰したカカオマスと呼ばれる部分にカカオポリフェノールは豊富に含まれます。このカカオマスに砂糖やココアバター、ミルクなどを混ぜることで、チョコレートになるわけです。

カカオポリフェノールの働きは、体内を酸化させ傷つける活性酸素を抑える「抗酸化作用」です。体内で、善玉コレステロール(HDL)を増加させ、悪玉コレステロール(LDL)の酸化を抑えます。血管を広げる作用が期待でき、動脈硬化のリスク軽減や、血圧改善にも繋がります。また、脳の栄養といわれる「BDNF」に働きかけ、認知機能を高め、脳を活性化させる働きがわかっていますので、若さを保ちたいと考えるなら、カカオポリフェノールを意識したいところです。

意外なところでチョコレート摂取による効果として「便通改善」の声があります。これは、カカオプロテインの一部が難消化性であることで、便の量を増し、便通をサポートしていると考えられています。また、腸内細菌の餌となり、腸内環境を整えることで、整腸作用が期待されるというものです。最近、脳と腸は繋がっている「脳腸相関」が注目されています。腸が元気になれば、幸せホルモンが脳に伝わりますので、チョコレートを食べると幸せな気分になるのは、気持ちだけでなく内側からのサポートのおかげかもしれません。そのほか、抗アレルギー効果など働きはさまざまです。

健康意識の高まりもあり、最近は、こうしたカカオポリフェノールを多く含んだ「高カカオチョコレート」もブームです。男性にも人気が高く、仕事の合間のリフレッシュに最適のようです。砂糖たっぷりの甘いチョコレートを食べるよりも罪悪感を感じることが少なく、チョコを食べた満足感を感じることができます。「高カカオチョコレート」を口に含むと果実のような華やかな香りが広がり、少しずつ口の中で溶かしていくと、ほんのりとした甘さとともに香ばしいカカオの味わいとほろ苦さを感じます。チョコレート本来の味わいを楽しめ、1枚で十分満足できます。何よりカカオの風味が癖になり、だんだんと含有量が多いものを好むようになる方が多いようです。

カカオポリフェノールは体内にとどめておくことができず、24時間後にはほとんど排泄されます。摂取後2時間が血中濃度のピークですので、1日数回に分けて摂取することをおすすめします。また、高カカオチョコレートは、ドリンクや料理にアレンジするのも最適です。

「健活手帖」 2023-02-10 公開
解説・執筆者
管理栄養士
浅野 まみこ
1975年生まれ。管理栄養士。食と健康のコンサルティング会社「エビータ」代表取締役。1万8000件以上の栄養相談の経験を元に『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)を著し、企業のコンサルティング、テレビ出演、講演活動を行う。