「苦味」は大人だけの楽しみ
季節ごとに味覚は変わっていきます。夏に食べたくなる味覚としては、レモンや梅干し、酢などの「酸味」があります。蒸し暑さで食欲が落ちていく夏に、酸味は食欲を増す強い味方になり、食べ物を腐敗しにくくさせる効果も期待できます。
大人になると、夏に欲しくなる味覚に「苦味」もあります。苦味の代表格といえば、ビールです。人生で初めて飲んだとき、「ビールは苦い」と感じた人も多いはずですが、気がつけば、「暑い日の最初の1杯はビールだよね」と苦味にハマってしまう人も多いのです。
大人の好きなかき氷には、苦味のある抹茶を合わせた宇治金時も人気です。また、果物ではグレープフルーツなど、柑橘類の中でも少し苦味のある爽やかな味わいが好まれます。
旬の食材としては、鮎があります。川魚の鮎は、内臓をつけたまま焼き、タデ科のやなぎたでの葉をすり潰し酢と合わせた蓼酢(たでず)をつけて食べる調理法が代表的です。この鮎を食べると、「夏だなぁ」と感じる人も多いことでしょう。春に食べる山菜の苦味とまた違った、はっきりとした内臓の苦味が特徴です。
ゴーヤをサラダで食べる
夏野菜の代表的な苦味といえば「ゴーヤ」です。ゴーヤの原産国はインドなど熱帯アジアです。日本では沖縄料理の素材として知られています。ゴーヤを豚肉やスパム、豆腐と一緒に炒め、卵でとじたのが、ゴーヤチャンプルーですが、このレシピの普及とともに全国で食べられるようになった野菜です。
今では、夏の日除けに庭でゴーヤを育てている家庭も時々見かけます。ゴツゴツとしたゴーヤを見かけると夏がきたと感じる人もいるでしょう。問題は調理方法と味です。ゴーヤチャンプルーしか食べ方がわからない、という人も多いのではないでしょうか。
セブン-イレブンで、カップデリシリーズの「ゴーヤーとツナのサラダ」が販売されていました(291円で購入)。ゴーヤ、玉ねぎ、カツオ油水煮が和えられ、かつお節の味わいがぐっと素材を引き立てています。ゴーヤの苦味は、かなり抑えられているため、苦味を求めている人には物足りないかもしれませんが、ゴーヤが苦手な人やお子さんでも食べられる味わいです。
そのままでもおいしいのですが、茹でて冷やした素麺にのせたらボリューム満点のランチになりました。調理をしなくてもゴーヤが食べられるうえ、チャンプルーとは違った食べ方を知ることもできるので、食事のバリエーションが広がります。夏に苦味が食べたいと思うのは、大人の醍醐味かもしれません。まだまだ暑い夏の後半を苦味で乗り切りましょう。