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気をつけて! 更年期症状に似た「心不全」症状

気をつけて! 更年期症状に似た「心不全」症状
エイジングケア
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しんどい更年期症状の裏に別の病気が

更年期を迎えると、倦怠感や息切れ、むくみ、冷え性などさまざまな症状が生じやすくなります。そして、そうした症状に隠れて別の深刻な病気が潜んでいることがあるのです。心臓病もそのうちのひとつです。数多くの治療を手掛ける東邦大学医療センター大森病院循環器センター(心臓血管外科)の藤井毅郎主任教授に聞きました。

最近、「ちょっと疲れやすいな~」と感じることはありませんか? 運動不足の状態が続いていると、駅の階段の上り下りが「しんどい」と思うのはよくあることでしょう。更年期による体調不良でなくても起こります。では、歩行距離の変化はどうでしょうか。

いつも通っていた店が、職場や自宅から10分程度だったとしましょう。2~3分程度の距離にある近場の店よりも、安くておいしい料理や食材を提供している店には、ちょっと時間がかかっても足を向けるという人は多いのではないでしょうか。ところが、ちょっと遠くのお店に行くのも「しんどい」と感じるようになる人がいます。「しんどい」の影には病気が潜んでいることがあるそうです。

「心臓病の中でも、慢性的に機能が低下する心不全は、その症状が老化や更年期障害の症状と似ているため、見逃されやすいのです。心不全の状態を放置していると、さらに症状が悪化するので注意が必要です」

藤井教授はこう警鐘を鳴らします。

老化や更年期の思い込みが心不全を悪化

心臓は、全身に血液を送るポンプ機能の役割があります。この機能が低下するのが心不全です。その原因には、①心臓の筋肉(心筋)の収縮力の低下②心臓を流れる血液は一方通行ですが、その血液の流れの停滞もしくは逆流③心臓の収縮・拡張はリズム(心拍)で動いていますが、急速に速くなるなどリズムの乱れ―などがあります。

「心臓は1日5000リットル以上の血液を送り出し、酸素や必要な栄養素は、血液によって運ばれて全身へ届けられます。心不全になると、血液量が減ることで酸素や栄養素が届けられなくなり、倦怠感、息切れ、むくみなどの症状につながります」

心臓病といえば心筋梗塞をご存じの方は多いでしょう。心臓の要の血管・冠動脈が血栓で詰まることで心臓への血流が止まり、胸を締め付けられるような痛みや意識も失う事態も招くため 、誰もが異変に気づきます。でも、心臓の機能が徐々に低下する心不全は、「老化」「更年期障害」の症状と勘違いして放置されがちなのです。心不全の原因によっては、心臓が機能をカバーしようと懸命に働く結果、心不全がさらに悪化するのです。

「慢性的な心不全は、自然によくなることは、ほとんどありません。高齢になり、がんなどの別の病気で治療を受けたときに、弁膜症など心不全の原因となる病気が見つかることも珍しくはないのです」

息切れや倦怠感は、「老化」や「更年期障害」という思い込みは、他の病気を見落とすことがあるので危険です。症状が続くようならば医療機関を受診して、原因を突き止めましょう。

「会社員以外の方は、自治体の健康診断を受けていない方が多い。ご自身の健康を過信せず、定期的な健診も活用してください」と藤井教授は呼びかけます。

監修者
心臓血管外科医師
藤井 毅郎
東邦大学医療センター大森病院循環器センター(心臓血管外科)診療部長、東邦大学医学部外科学講座心臓血管外科学分野主任教授。1990年、東邦大学医学部卒。2022年より現職。虚血性心疾患・弁膜症・大動脈疾患の手術を数多く行っている。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。