人工関節置換術で手術後の回復力アップ
国内の変形性膝関節症の推計患者数は約2400万人、変形性股関節症は約500万人にのぼる。少なくない人々が、その痛みに悩まされている。脚のつけ根や膝の痛みを抱えていると、運動習慣どころか、日常生活にも支障が及ぶことがあるからやっかいだ。
「関節の変形がそれほど進んでおらず、日常生活に著しい支障が及んでいなければ、痛み止めの薬とストレッチ、運動習慣による筋力強化が治療の基本になります。しかし、日常生活に著しい支障が生じている場合は、手術が適用されます」
こう話すのは、NTT東日本関東病院人工関節センター長(整形外科医長兼務)の大嶋浩文医師。変形性股関節症の治療を数多く行い、股関節を人工的な関節に置き換える人工関節置換術も得意としている。
「人工関節置換術は、人工関節の素材が長持ちするように改良され、手術の方法も、ロボティックアーム(Mako=メイコー)を使用することで、より質が高くなっています。術後経過はよりよくなりましたし、身体への負担軽減、手術後の回復力が格段によくなっているのです」
たとえば、変形性股関節症における人工関節置換術は、骨盤のお椀のような寛骨臼部分のソケットと、脚のつけ根の大腿骨頭のボール部分を人工素材の医療機器に置き換える手術である。ソケットやボールのついた人工医療機器を取り付けるには、変形した部分の骨を削らなければならない。「骨を切って人工関節に置き換える」というと、とても簡単そうに聞こえるが、実際は繊細な手技を要求され、ミリ単位での調整がより良い術後成績に関わってくる。
メイコーの人工関節置換術は保険適用
「以前から画像検査の情報によって術前シミュレーションを作ることで、正確な手術を行っていました。メイコーのロボティックアームは、手ぶれもなく、手術中にシミュレーションを正確に再現しながら手術を行えます。このメリットは非常に大きいです」
車に例えるなら、目的地をナビゲーションに指示し、自動運転で時間通りに着くイメージだ。地図を見ながらの手動運転よりも、正確な工程になることは間違いない。結果として、患者の状態にもよるが、大嶋センター長が行う股関節の人工関節置換術は、術後に7日~14日で退院し、テニスやゴルフなどの趣味を再開している人が多いという。
「メイコーの人工関節置換術は保険適用です。手術を受けることでご高齢の方でも元の生活を取り戻していただくことが可能です。私たちのモットーは『手術したことを忘れて普通に生活していただけるようになる』治療です。それがメイコーでさらに実現しやすくなったと実感しています」
こう話す大嶋センター長は、メイコーのロボティックアーム支援人工股関節置換術指導者の資格を有し、後輩の育成にも尽力している。
「股関節のみならず、変形性膝関節症もメイコーで行っています。日常生活に支障が生じている方は、手術についても考えてはいかがでしょうか」
ロボティックアーム支援下人工関節手術とは
関節の骨を切って人工関節を入れるときに使用する。あらかじめシミュレーション情報を入れてコンピューター制御されたロボティックアームによって、正確に骨を切除し、人工関節をより適切に設置できるようになった。2017年、ロボティックアーム支援システム「Mako」を使用した人工関節置換術(股関節)が保険適用に。2019年には膝関節の人工関節置換術も保険適用になっている。