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痛い!関節の悩み解決術(2)~歩くと消えて油断する「変形性膝関節痛」

痛い!関節の悩み解決術(2)~歩くと消えて油断する「変形性膝関節痛」
病気・治療
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変形性膝関節症の特徴は?

用事を思い出して突然立ち上がった瞬間、『アイタタタ! 膝が痛い』。それでもやむなく『痛いなあ…』と思いながら、用事を済ませると『アレっ?』。膝の痛みが消えている…。このような症状に、変形性膝関節症が潜んでいるという。

「早期段階では、歩き始めると痛みが消えるようなことが起こります。変形性膝関節症の患者さんは約2400万人と推計されていますが、膝関節の変形があってもすべての人に症状が出るわけではありません。痛みが伴う人は約840万人と推計されています」と、NTT東日本関東病院人工関節センターの大嶋浩文センター長は説明する。

膝関節は、太ももの大腿骨(だいたいこつ)、すねの脛骨(けいこつ)、膝のお皿の膝蓋骨(しつがいこつ)の3つの骨で構成され、それぞれの骨の表面にはクッションの役割りを果たす軟骨、靱帯や筋肉など、複雑な組織で成り立っている。

変形性膝関節症では、軟骨がすり減り骨が変形するのだが、他の組織がカバーしているためか、必ずしも痛みにつながるわけではない。

「運動不足で体重が急に増えたり、逆に、健康のためにウオーキングやジョギングを始めるなど、急に膝への負荷が増したときに痛み始めることがあります。特に肥満の方は注意が必要です」

歩行や階段の昇降などでは、体重の3~5倍の力が膝関節にかかるという。体重50キロの場合は、膝関節には150~250キロ。体重60キロの場合は、180~300キロ。体重が増えれば増えるほど、膝関節への負担も重くなる。

7割の人は運動習慣がない

「運動習慣を持たず、関節を支える筋力がない方が、体重が3~5キロも急に増えると、膝の不具合が一気に進行することがあります。膝が痛いと動かなくなるのが一般的でしょう。さらに筋力が落ち、体重が増えることで、ますます膝関節が悪くなるという悪循環に陥りやすいのです」

国内で運動習慣を持っている人は、男性で約33%、女性で約25%。およそ7割の人は、運動習慣を持っていないことになる。しかも、運動習慣の改善の意思について、「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した人も多かった。その主な理由として「仕事(家庭・育児等)が忙しくて時間がない」という割合も高い(厚労省2019年「国民健康・栄養調査」)。

「膝の不具合を抱えている方は、医療機関を受診して、まずは変形性膝関症か、もしくはそれ以外の病気か、原因を確かめることが大切です。その上で、膝に負担をかけないための運動を心掛けましょう」

膝が傷んでいるときに、コンクリートのような固い道を歩くと、さらに膝にダメージを与えることもあるという。

大嶋センター長がお勧めの体操(別項)などを参考に体を動かそう。クッション性の高い靴を履く、あるいは、プールの中を歩くなど、膝への負荷を軽減しながら身体を動かし、筋力強化を目指すことが体を守る。

大嶋センター長オススメ「太ももの筋肉を鍛える」体操

椅子に腰をかけ、両足を床につける=写真
息を吐きながら、片方の脚を真っすぐ(水平)にのばし、5~10秒キープ
息を吸いながら、脚を曲げて元に戻す
もう片方の脚も(1)~(3)を繰り返す
10回を目安に、無理のない範囲で徐々に回数を増やす

解説
整形外科医
大嶋 浩文
NTT東日本関東病院人工関節センター長、整形外科医長。2004年、弘前大学医学部卒。JR東京総合病院や東京大学医学部附属病院などを経て現職。日本専門医機構認定整形外科専門医、ロボティックアーム支援人工股関節置換術指導者など多数の資格を有する。
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。