関節痛 痛い!関節の悩み解決術

痛い!関節の悩み解決術(1)~関節痛からロコモ進行すると寝たきりリスク上昇

痛い!関節の悩み解決術(1)~関節痛からロコモ進行すると寝たきりリスク上昇
病気・治療
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 介護保険の要支援者の原因第1位は「関節疾患」

加齢とともに膝関節や股関節の不具合で、思うように動けなくなることがある。様子を見ても関節の痛みは治まらず、坂道を転がるような悪化を心配するだろうが、適切に対処すれば改善や予防が期待できる。NTT東日本関東病院人工関節センターの大嶋浩文センター長に5回にわたって“解決術”を聞く。

歩き始めたときに脚のつけ根に痛みが走り、階段を下りるときに膝に違和感を持つことはないだろうか。最初はちょっとした痛みや違和感だったのに、時が経つうちに症状が強くなり、「歩くのがしんどい」と思うようになる。そうした関節の不具合に悩む人は多い。

厚生労働省の2019年「国民生活基礎調査」によれば、「手足の関節が痛む」と答えた有訴者率は、女性で第3位、男性で第5位。介護保険の要支援者の原因第1位は「関節疾患」である。

「関節の痛みで思うように動けなくなると、立ったり歩いたりなど日常生活機能が低下するロコモティブシンドローム(ロコモ)に陥りやすくなります。ロコモが進行すると、健康的な日常生活を送る健康寿命を縮めることになり、将来の寝たきりリスクも上がるため注意が必要です」

こう話す大嶋浩文医師は、股関節疾患治療のエキスパートで、関節の不具合に苦しむ患者を数多く救っている。

健康寿命の最大の敵は、関節の病気

「平均寿命に対して健康寿命は約10年短い。その最大の原因ともいえるのが、関節の病気です。関節の不具合を放置せず、ロコモの改善・予防にも適切に対処すれば、健康寿命の延伸は可能です」

関節は、骨と骨を筋肉や靱帯がつなぎ、骨同士がスムーズに動くように軟骨や滑膜(かつまく)などが複雑な構造で支えている。関節が正常に機能していれば、当然のことながら関節の不具合は起こらない。しかし、関節の骨の変形、軟骨のすり減り、筋肉や靱帯の衰えなどが加齢や生活習慣で後押しされると、関節に不具合をもたらすことになる。

「関節の不具合は、老化や肥満、生まれながらの骨の形成不全など、さまざまな要因が絡み合って進行していきます。単なる“老化”ではないことが多い。原因を知り、早い段階で適切に対処して、進行しないようにすることが重要です」

股関節の不具合の最大原因である変形性股関節症では、患者の約9割が寛骨臼(かんこつきゅう)形成不全という骨の変形に関わる。一方、膝関節の不具合の代表格・変形性膝関節症は、O脚やX脚といった体重がかかる環境の変化に関わって症状が進行しやすくなるという。いずれにしても、骨の変形は自然に治すことが難しい。

「関節の状態によっては、薬物療法や運動療法といった保存療法で関節を守ることが可能です。また、手術も以前に比べて格段に進歩しました。関節リウマチなどの病気が原因のこともあるので、関節の不具合を感じたら、早めの受診を心がけていただきたいと思います」と大嶋センター長はアドバイスする。

性別にみた有訴率の上位(複数回答可)

【女性】
肩こり
腰痛
手足の関節が痛む
体がだるい
頭痛

【男性】
腰痛
肩こり
鼻がつまる・鼻汁がでる
せきやたんが出る
手足の関節が痛む

※厚労省2019年「国民生活基礎調査~自覚症状の状況」から

解説
整形外科医
大嶋 浩文
NTT東日本関東病院人工関節センター長、整形外科医長。2004年、弘前大学医学部卒。JR東京総合病院や東京大学医学部附属病院などを経て現職。日本専門医機構認定整形外科専門医、ロボティックアーム支援人工股関節置換術指導者など多数の資格を有する。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。