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軽視されがちな「頭痛の悩み」を解決~くろだ脳神経クリニック院長・黒田博紀さん

軽視されがちな「頭痛の悩み」を解決~くろだ脳神経クリニック院長・黒田博紀さん
病気・治療
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昨年6月、小田急線の相模大野駅から徒歩5分の場所にオープンした「くろだ脳神経クリニック」(相模原市)は、MRIやエックス線等の画像診断装置を導入した「脳」に特化した診療所だ。

院長の黒田博紀医師は、脳神経外科医の父と皮膚科医の母を持つ。脳神経外科を専門に選び、大学院では脳循環代謝を研究テーマに選んだのも、尊敬する父への畏敬の念が少なからずあったようだ。

大学病院や関連病院で数多くの手術を経験する中で、「命を救うこと」の他に、「病気にならないようにすること」の重要性に意識が向くようになり、開業に踏み切った。

「脳の病気で搬送されてくる患者さんは、コミュニケーションが取れない状況であることが少なくない。そうなる前に、そうならないためのアドバイスをしたいという気持ちが高まって…」

そう語る黒田医師のクリニックは、相模原市では貴重な「頭痛外来」を標榜する診療所。近年新薬の開発が続く領域だが、その使用には医師に資格条件がある。その資格を持つ黒田医師は、相模原だけでなく近隣の市に暮らす頭痛患者にとって貴重な存在。事実クリニック受診者のほぼ半数が頭痛患者で占められているという。

「片頭痛などは、当人の苦痛の大きさの割に、周囲からは“頭痛程度で…”と軽視されることもあり、それが患者さんの悩みを大きくしている。それだけに痛みが消えたときの喜びは大きく、医師としてのやりがいを感じられるんです」

認知症を対象とした「物忘れ外来」や、脳卒中後のフォローアップにも力を入れ、大学病院のサテライト的な位置づけとしての機能を発揮する。

高齢社会の進展とともに「脳(頭)の医療」は重要性を増す。その“入り口”を守る黒田医師の存在意義は、想像以上に大きいのだ。

黒田博紀(くろだ・ひろき)

くろだ脳神経クリニック院長。1979年盛岡市生まれ。北里大学医学部卒業、岩手医科大学大学院修了。岩手医大病院、岩手県立病院勤務を経て、北里大学病院脳神経外科診療講師。同院救命救急災害医療センター、大和市立病院、横浜市立脳卒中・神経脊椎センター勤務を経て、2022年から現職。日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本認知症学会の専門医・指導医。日本頭痛学会専門医他。趣味はテニス。

執筆者
医療ジャーナリスト
長田 昭二
医療ジャーナリスト。日本医学ジャーナリスト協会会員。1965年、東京都生まれ。日本大学農獣医学部卒業。医療経営専門誌副編集長を経て、2000年からフリー。現在、「夕刊フジ」「文藝春秋」「週刊文春」「文春オンライン」などで医療記事を中心に執筆。著書に『あきらめない男 重度障害を負った医師・原田雷太郎』(文藝春秋刊)他。