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初夏の食薬習慣(5)~「和朝食」で低気圧による体調不良から身を守る 

初夏の食薬習慣(5)~「和朝食」で低気圧による体調不良から身を守る 
予防・健康
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5月は過ごしやすいといわれますが、雨の前日には蒸し暑さを強く感じ、天気が崩れ始めて低気圧を感じる日もありますよね。梅雨から初夏へと少しずつ移行していくのが肌で感じられます。

とくに雨の日は、頭痛やむくみ、耳の閉塞(へいそく)感、消化器系の不調、だるさ、気分の落ち込み、咳、神経痛、古傷の痛みなどに悩まされる人が増えます。

漢方医学では、消化吸収に関わる「脾(ひ)」、汗による水分の調整に関わる「肺」、尿による水分の「腎」といった水分代謝に関わるどこかが弱っている人に、症状が出ると考えます。

また、食事の内容によって不調を招く、「痰湿(たんしつ)」「湿熱(しつねつ)」という老廃物や水、熱が溜まりやすい状態があります。高脂肪食品、味の濃い食事、アルコールや糖質の摂りすぎなどによって、雨の日の不調を感じやすくなる状態です。

梅雨入り前の今でさえ、体調不良を感じる人は、6月に入ると、梅雨入り、台風、ゲリラ豪雨と続く日々でバテバテになりかねません。

ということで、ここでは天気によって体調不良を感じる人のための対策です。体調をセルフチェックしながら、心と体を整える食薬習慣をお伝えします。

■乗り物酔いと関節痛の関係

車の中の環境は、平衡感覚を保つ内耳に刺激が加わりますが、気圧の変化が起きたときにも耳の中にあるセンサーに刺激が加わります。そのため、乗り物酔いをしやすい人は、低気圧にも敏感に反応する傾向があります。また高層階や飛行機などは標高が高く、気圧が低い場所です。そのため、高層階行きエレベーターや飛行機の離発着に不調を感じる人も低気圧に弱い傾向があります。

このように気圧の変化に敏感な人は、低気圧が近づくと水分代謝や自律神経が乱れてしまったり、血管が拡張傾向になることで、むくみ、だるさ、めまい、頭痛など様々な不調を感じます。日頃から、両耳たぶをもって引っ張ったり、回してあげて耳の周りの巡りを整えてあげることも予防となります。

漢方医学では、水分代謝を日ごろから整えるように「脾」「肺」「腎」のための養生をします。具体的には、①7時間程度の睡眠を確保する、②胃腸へ負担がかかることを控える、③心地のよい汗をかくような有酸素運動をする―といった対策です。

■低気圧で体調不良のときの食薬習慣

朝からの和食を心がけましょう。1日のうちで朝食の改善が体内時計を整え良質な睡眠を導き「腎」の働きを支えるために役立ちます。この時期だけでも、みそ汁、ごはん、魚、納豆、小鉢、ぬか漬け―という旅館の朝食を目指しましょう。貝類、納豆、ノリ、卵には内耳の血流を促すビタミンB12、亜鉛、鉄などが多く含まれています。

さらに1回1動作で姿勢を正し、よく噛んで食べる〝和作法〟を活用するのもポイントです。ながら食い、早食い防止となり、姿勢を正すことで消化器系統の圧迫がなくなります。よく噛むことで消化をサポートし、「脾」の働きを支えます。みそ汁や納豆、小鉢、ぬか漬けは腸内環境を整え「肺」をサポートする働きがあります。

“脳腸相関”により自律神経を整えるためにも役立ちます。まず、朝の和食と和作法を取り入れてみましょう。

解説・執筆者
薬剤師、国際中医師
大久保 愛
食薬の第一人者、薬剤師、漢方カウンセラー、国際中医師、日本初の国際中医美容師、薬膳料理研究家、作家、アイカ製薬代表取締役。未病を治す専門家としてAI漢方・食薬相談システム『CrowdSalon』開発や『食薬アドバイザー』資格養成、商品開発、企業コンサルティングなどに携わる。著書『心がバテない食薬習慣』は発売1カ月で7万部突破のベストセラーに。著書多数。https://crowdsalon.com/。