初夏の食薬習慣(4)~“舌チェック”で老け顔対策 「舌苔」が増えた人にオススメの食事法
薬剤師、国際中医師 大久保愛

新型コロナウイルスは5類に引き下げとなり、急に暑くなる日も増えて、マスク姿が、一気に減り始めました。
とはいえ、3年もの間、習慣化した余波もまだあります。マスクを外すのが恥ずかしい、素顔を見られるのが怖い、表情を作るのが面倒くさい―など感染症対策以外のメリットを感じ、マスクを外すことに強い抵抗を感じる人もいます。
また、マスク生活によって顔の筋肉を使う機会が減ったり、スキンケアを気にしなくなった悪影響もあります。シミ、シワ、たるみ、湿疹、毛穴、くまなどが急激増えて、老け込んだ印象となり、それでマスクを外せないという悪循環に。“顔パンツ”と呼ばれるほどのマスク依存から脱しなくてはいけません。
ということで、今回は、老け顔に悩む人のための対策です。体調をセルフチェックしながら、心と体を整える食薬習慣をお伝えしていきましょう。
舌苔で見る腸内環境
鏡を手にして自分の舌を見てください。舌磨きをしたくなるほど苔がついていませんか?
舌の表面にある苔状のもの「舌苔(ぜったい)」には、直近の食事の状態が表れます。漢方医学では、舌の状態をみて体調を判断することがあります。舌に白い苔がうっすらついているのは正常ですが、舌磨きでとりたくなるほどついていたり、苔の色が黄色くなっていたり、苔の一部が剥がれていたりする人は問題です。
日々の生活の中で、他人の舌と比べることは難しいので、体調を知るためにも、毎日自分の舌を見て、昨日の自分と比較することを習慣化することが望ましいです。
舌苔が増えるときには、胃腸に負担がかかるほどに偏食したり食べる量が多かったりしていることが多く、体の糖化、酸化、腸内環境の悪化につながってしまっていることがあります。
これらが長期化すると舌の苔は黄色味がかり、体内では慢性的な炎症が起きてきます。シミ、シワ、毛穴、たるみ、ほうれい線、湿疹、赤ら顔などの老け顔の印象を作り出してしまうのです。
肌は最大の臓器ともよばれ、体の状態を可視化できる部位でもあります。肌の状態が思わしくないのは、体内に改善点があることが考えられます。昨日の自分と比較して舌の苔が増え始めたときは、食物繊維の量の不足、偏食、食べ過ぎなどの見直しをするクセをつけるようにしましょう。
老け顔対策には、①片手のひら1杯分のナッツやゴマ、②片手のひら3つ分の野菜、③片手のひら1つ分のキノコと海藻を食べることです。
食事の初めに摂取
今日は片手何個分の野菜を食べることができましたか? 意外と意識して習慣化させないと不足しがちなポイントです。これらの食材を食事の初めにとることで、血糖値の上昇を抑え、糖化を防ぎ、抗酸化作用や、腸内を整える働きが期待できます。舌苔が増え始めている人には欠かせない食材です。
また終末糖化産物(老化物質)であるAGEsを抑える栄養素には、カルシノシン、ビタミンB6、ビタミンB1、αリポ酸、ポリフェノールなどがあります。食材としては鶏の胸肉、トマト、サーモン、葉物野菜、ココアなどがおすすめです。
