高齢になるほど、脳の情報処理能力が衰えます。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感からの情報に対する、認知速度が遅くなっていくのです。物忘れや記憶不定着が起こり、正常な判断ができなくなります。
そこにつけ込むのが「オレオレ詐欺」「特殊詐欺」です。実際の世界でこうなのですから、ネットのバーチャル世界では、まさに高齢者は“いいカモ”です。スマホ依存症が増えるとともに「ネット詐欺」の被害にあう高齢者が続出しています。
ガラケー時代と違って、スマホは常時ネットに接続されていますから、トラブル続出なのです。詐欺から身を守るには、まず、ネット詐欺について知る必要があります。しかし、過度のスマホ依存から「スマホ認知症」になった高齢者の方の中には、自分がネット詐欺にあっていることを自覚していない人が見受けられます。なにかの機会で家族が発見し、判明することが多いです。
ネット詐欺とひと口に言っても、手口はさまざま。以下、代表的なものを紹介してみます。
フィッシング詐欺
実在の企業名を語る「なりすましメール」を送り、偽のサイトにアクセスさせ、ID、パスワードなどの個人情報を盗み悪用する手口。なりすましメールには、金融機関、クレジット会社、宅配便、通販会社など多様で、それを実際のメールと思って、個人情報(ID、パスワードなど)を登録すると、クレジットカードを不正使用されたりします。
「重要なお知らせ」というメールは、単なる「釣り」なので、絶対に開けてはいけません。
ワンクリック詐欺
動画閲覧中に突然「会員登録完了」などのメッセージが表示され、高額な料金請求される。無料サンプル動画をよそおう手口が多い。最近は「あなたのパソコンがウイルスに感染しました。駆除するにはこのボタンをクリック」などいう手口が増えました。これらは偽の警告なので、サイト上の「YES」や「はい」のボタンを不用意にクリックしてはダメです。また、メールアドレスや電話番号には絶対に連絡してはいけません。
偽通販サイト
ネット通販で商品を購入したが商品が届かない、注文したのとは違う粗悪品が届いたといったケースが多発。これらは、「偽通販サイト」に引っかかったからです。スマホ検索で、「探している製品名+格安」などのキーワードを入れると、直接商品ページに誘導され、偽通販サイトと気づかず購入してしまう例があります。サイトのURLや商品の価格設定の不自然さで見分けることです。
架空請求
「期限までに支払わなければ延滞金が発生する、訴訟にする」などというメールで、架空の有料サービスの利用料や有料会員の登録料などを支払わせようとする手口。無視してゴミ箱直行にします。
ランサムウェア
ロックして使えなくするソフトのこと。ダウンロードしてしまうと、ロック解除のために金銭(身代金)を支払うよう求められます。
アカウント乗っ取り
たとえば、フェイスブックの友達申請の仕組みを利用して行う詐欺。乗っ取ったアカウントで友達を偽サイトへ誘導したりします。
こうしたネット詐欺の被害者は、「独居老人」が多いといいます。スマホについて相談する家族、友人がいることがなにより大切です。疑いが少しでもあれば、最寄りの警察や国民生活センターに相談すべきです。