野菜が体にいいことなど、誰だって知っている。だから本当はあまり野菜が好きではないけれど、頑張って食べている人も少なくない。でもその努力、もしかしたら見当はずれかも――。野菜は、やみくもに食べるのではなく、栄養のバランスを考えて効率よく食べて初めて健康に結びつくのだ。
野菜は、どう食べれば役立つのか。その悩みを解決してくれるのが、『野菜の栄養と食べ方 まるわかりBOOK』(ワン・パブリッシング刊、1430円)である。著者の牧野直子氏=写真=は、健康と美容に関わる幅広いテーマでレシピ開発や栄養指導を行う管理栄養士で料理研究家。健康記事の常套句である「バランスのいい食事」を、具体的かつ分かりやすく解説したレシピ本なのだ。
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栄養豊富な野菜として知られるトマトやブロッコリー、タマネギ、ゴボウ、レンコンなど、それぞれが持つ栄養素をムダなく摂取するために最適なレシピは何なのか―を、栄養学的な視点から検証し、しかも「美味しい一品」として紹介している。
たとえば、「たらことタマネギのスパゲティ」は、糖質オフを心がけているけれど、疲れやすくて元気が出ない人にオススメの、しっかり食べても太りにくい一皿。免疫強化に役立つ「にんじんそぼろのレタス包み」はニンジンをすりおろすことで細胞が壊れ、栄養素が吸収されやすくなる。
おかずとしてはもちろん、つまみにも合うようなメニューもふんだんに紹介されていて、ちょっと困った時に冷蔵庫の中の野菜を使って料理するときに大いに役立つ。
「何気なく食べている野菜から効率的に栄養素をとることができたら…と考えてこの本を作りました。レシピだけではなく、ゆるいイラストとともにわかりやすく栄養素について解説しています。普段の食事から栄養をとりたい、という人に、ぜひ読んでほしいです」と語るのは、ワン・パブリッシングの柏倉友弥氏。
一つひとつの野菜に含まれる栄養素が体内でどんな働きをしているのかが、分かりやすく理解できる親切設計。しかも数多くの写真を使っているので、日々の献立作りに悩む主婦に役立つのはもちろん、定年後やコロナ禍のリモートワークで自宅にいる時間が増えたお父さんは、これを読むことで料理への興味が湧くことだろう。
加えて、どのレシピも「簡単すぎるにもほどがある」というほど簡単なものばかりなので、料理初心者が挑戦するのにも最適だ。その意味でこの本は、書棚ではなくキッチンに常備しておくことをお勧めする。
野菜の栄養素をムダにしない4つのコツ
①調理法の工夫…野菜の栄養素には「水溶性」と「脂溶性」があり、それぞれに応じた調理をする
②保存法の工夫…劣化しやすい青菜や葉野菜などは根元を水に濡らしたペーパーで包むなどして冷蔵保存
③症状に合わせたメニューを選ぶ…野菜に含まれる栄養素とその作用を知り、体の症状やトラブルに合わせたメニュー選びを
④バランスよくコツコツ食べる…厚生労働省の推奨する1日の野菜摂取推奨量は「350グラム以上」だが、栄養バランスが偏らない注意が必要