マスクを外す機会が増え、口が外気に触れることが多くなった。元の生活に戻れる喜びとともに口臭が気になる…。その最大の原因は「歯周病」だ。このタイミングで、正しい歯周病対策を身に付けておくべきなのだ。
動脈硬化、心筋梗塞、糖尿病、関節リウマチ、アルツハイマー型認知症…。高齢になるほどリスクが高まるこうした疾患への恐怖を感じ、予防に力を入れる人は多い。しかし、なぜかその大もとにある「歯周病」を甘く見る人が少なくない。
その証拠に現在30代以上の約6割が歯周病に感染していると言われ、「人類史上最も感染者数の多い感染症」としてギネスブックに認定されているのだ。
そんな歯周病の基礎知識から「根拠のある対策」までを網羅したのが、『歯周病になったらどうする?』(アスコム刊、1595円)。著者の亀井孝一朗さん=写真=は三重県名張市で歯科医院を運営し、「近隣の都市からも患者が集まる」歯科医師として知られている。

まずは「歯周病セルフチェック表」(別項)の該当する項目にチェックを入れてほしい。1から5の中に1つでも該当する項目があれば歯周病の初期段階である「歯肉炎」、6から10の中で1つでも当てはまるものがあれば、さらに進行した「歯周病」の危険性が高いことを意味する。
歯周病は単に歯が抜け落ちてしまうだけでなく、冒頭で触れた動脈硬化やアルツハイマー型認知症などの重大疾患の“呼び水”となることが多くの研究から明らかになっている。言い換えれば、この段階で歯のメンテナンスを的確に行うことで、こうした恐ろしい病気のリスクを下げることにつなげられるのだ。
本書では、歯周病を回避するために不可欠な、歯科クリニックに通う習慣作り、正しい歯磨き、食事と栄養管理、生活習慣の改善などの対策が、機能的に書かれている。
たとえば、頼れる歯科医師を見つける手がかりとして、著者は次の項目を挙げている。
①歯科衛生士が常駐していること
②「かかりつけ歯科医師機能強化型歯科診療所(略称「か強診」)」である
③医療法人である
④信頼できる歯科技工士と提携していること。
これらはホームページから得られる情報であり、そのホームページで予防に関する上場を積極的に発信していれば、安心感はいっそう高まる。
「調べたら私も歯周病でした。歯を磨いても口が臭かった理由はこれだったんだと納得しました。また症状がないから大丈夫、と思わず、30代以上の人は、今すぐこの本で歯周病対策を心がけてほしい」と語るのは、編集を担当したアスコムの中村悟志氏。
本のタイトルは『歯周病になったらどうする?』だが、歯周病になる前から知っておくべき情報が満載の1冊だ。
歯周病セルフチェック表
①歯磨きは寝る前と朝だけ。またはそれ以下
②歯並びが悪く、食べたものが詰まりやすい
③朝起きると口の中に粘り気を感じる
④歯の表面を指でなぞるとザラザラした感触が
⑤歯茎が赤く腫れている
⑥歯磨きをするといつも出血する
⑦硬いものを食べると歯の根元が痛い
⑧歯茎や歯の根元がムズムズする
⑨歯を磨いているのに口臭を指摘される
⑩歯が長くなったように感じる