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【ベストセラー健康本】アルツハイマー型認知症を防ぐ歯のケア『脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!』

【ベストセラー健康本】アルツハイマー型認知症を防ぐ歯のケア『脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!』
予防・健康
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肺炎をはじめ、歯が全身の健康状態と密接に関わっていることが知られるようになってきた。実は歯は「脳」とも強い結びつきがある。しかも、ターニングポイントは、35歳からの「歯のケア」にあるというのだ。

記憶力が落ちた、物覚えが悪くなった、やる気が出ない…そうした状況に歯止めをかけ、改善する方法は「歯を守ること」と説く。注目の書が『脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!』(かんき出版刊、1298円)。著者で、認知症専門医の長谷川嘉哉氏=写真=がいう。

「歯周病は命に関わるすべての疾患の原因になることを知ったとき、32年の医師生活の中で、患者さんの歯を気にかけたことがないことに気が付きました。改めて認知症患者さんの口腔内を確認すると、あまりのひどさ、言い換えると“ゴミ屋敷”でした。そして、歯科への取り組みを始めると、認知症が明らかに改善する人がいたのです」

なぜ認知症専門医が歯のケアを? と思うかもしれないが、高齢の認知症患者は歯みがきを嫌がる人が多く、それを心配する家族の声を長谷川医師はたびたび耳にしてきたという経緯があった。

しかし、高齢患者の多くが他の医療機関にもかかっているため、歯科まで手が回らない。そこで、クリニックに認知症専門外来としては珍しい歯科用チェアユニットを設置し、歯科衛生士に来てもらうようになった。すると、歯をケアすることで認知症状が劇的に改善するケースが見られるようになったという。

これは歯でものを噛むと、脳に大量の血液が送り込まれ、脳が活性化するためで、歯周病菌がアルツハイマー型認知症の原因となることもわかっている。また、名古屋大学大学院医学系研究科の上田実教授が行った調査では、アルツハイマー型認知症の高齢者は、健康な高齢者に比べ、残っている歯の本数が平均して3分の1しかなかったというデータもある。

では、脳の老化を防ぐ歯のケアとは、具体的にどんなものか。

最初に行いたいのは「舌ポジション」の確認だという。これが間違っていると、口呼吸になり、口内細菌が増えやすくなる。正しくは、口を軽く閉じたとき、舌先が上あごのセンターにある「スポット」という浅いへこみに収まること。

本書では3段階の歯のケア方法が記されているが、ここでは「レベル1」の「基本ケア」を紹介したい。

①「5分の歯みがき」を習慣にする…1~3分では、歯についた汚れを落とすには短すぎる。いつもよりほんの数分だけみがく時間を延ばし、1回の歯みがきを5分間とする癖をつける。

②「舌まわし」で常に口内を洗浄する…唇を閉じたまま、舌先で歯の外側と頬の内側の間を大きくなぞるように、ぐるりと1周させる。2~3秒で1周する速さが理想的。これを右回りと左回り、各20回ずつ行うことを1セットとして、朝昼晩の1日3回行う。

歯周病は認知症の他、動脈硬化や糖尿病、骨粗しょう症、がんにも影響しているという。歯のケアを今日から本気ではじめよう。

脳寿命チェックリスト

□35歳以上である
□朝起きたときに、口の中がネバネバする
□口臭がある
□歯みがきに5分以上の時間をかけない
□歯みがきをするとき、歯間ブラシやデンタルフロスを使わない
□歯を磨くと出血することがある
□抜けたままにしている歯、治療をせず放置している歯がある
□1年以上、歯科を受診していない

※ひとつでもチェックが入れば、脳の寿命は短くなり始めている可能性アリ。脳の若返り方法は、本書をチェック!
 

「健活手帖」 2022-07-15 公開
執筆者
ジャーナリスト
田幸 和歌子
医療ジャーナリスト。1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。「週刊アサヒ芸能」で健康・医療関連のコラム「診察室のツボ」を連載中。『文藝春秋スーパードクターに教わる最新治療2023』での取材・執筆や、健康雑誌、女性誌などで女性の身体にまつわる記事を多数執筆。