【ベストセラー健康本】身体醜形症を“こころの免疫力”で克服『自分の見た目が許せない人への処方箋』

【ベストセラー健康本】身体醜形症を“こころの免疫力”で克服『自分の見た目が許せない人への処方箋』
予防・健康
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自分の顔が嫌いで仕方ない、そのせいで人生がつらすぎるという人は、もしかしたら「身体醜形症」という心の病かもしれない。その病の正体と対処法に関する1冊を紹介したい。

「身体醜形症」は若い人だけでなく、40~50代で発症する人もいるし、男女比も1対3と、男性も少なくないという。

精神科医・形成外科医の中嶋英雄氏=写真=が『自分の見た目が許せない人への処方箋 こころの病「身体醜形症」の治し方』(小学館刊、1760円)を出版したきっかけについて、担当編集者の木村順治氏が語る。

「自分の外見に過剰なコンプレックスを抱く『身体醜形症』の患者はSNSの普及で近年増えていると言います。本書では、形成外科と精神科の両面から患者さんにアプローチしてきた中嶋医師に、外見の悩みに苦しむ人たちの原因を解き明かし、ありのままの自分を受け入れる“こころの免疫力”レジリエンス(後述)をつけるため、自分でできるさまざまなケア方法を紹介してもらいました」

自分が醜いと思い詰める原因には、顔の変形や歪みなどの病気が関わっていることがある。自己否定感や無条件に愛された体験のなさが影響している場合もある。そもそも美しいかどうかは主観であり、万人に共通する基準は無く、数値化できない。整形ですべて克服できるわけでもない。

本書の重要なキーワードは、「レジリエンス」だ。レジリエンスとは私たちが困難や逆境などストレスの伴う状況に遭遇した際、うまく対処して乗り越えていく能力で、レジリエンスを弱らせる12の「思考の落とし穴」をこう指摘している。


①早とちり(結論の飛躍)=根拠もないのに自分にとって不利で悲観的な結論をすぐに決めつけてしまう。

②トンネル視(視野狭窄)=全体を見ずにたった1つの嫌なことに注目し、実際よりネガティブにとらえる。

③拡大解釈と過小評価=失敗や短所は実際より大きく考え、成功や長所は過小評価する。

④個人化(自己非難)=すべて自分のせいだと罪悪感で自分を責める。

⑤外面化=問題が起こると、反射的に誰か・何かのせいにする。

⑥大惨事思考=些細な問題を過剰に一般化して考えてしまう。

⑦マインドリーディング=相手の気持ちを勝手に推察して思い込む。

⑧感情の理屈づけ=感情をもとにものごとを判断して決めつける。

⑨白黒思考=状況を常に二択で考える。

⑩完璧主義=「~すべきだ」「~でなければならない」と考える。

⑪劣等比較=常に自分は人よりも劣っているという感覚に陥る。

⑫他者評価の全面受け入れ=他人から言われたことを正しいか検討せずに全て真に受ける。

中嶋医師は、とらわれた心を鎮める「マインドフルネス呼吸法」や、規則正しい生活や食事のコツなどを提案。身体醜形症のみならず、ストレス過多な全ての現代人に役立つ情報が満載だ。

レジリエンスを強くする食事のコツ

□毎日できるだけ決まった時間に食事をする
□1日3度の食事をきちんと食べる
□コンビニ弁当やファストフードは避ける
□抗酸化力のある食材を意識して食べる
□座ってゆっくり味わう
□冷たい飲み物はできるだけ避ける
□食後に軽く散歩する

「健活手帖」 2023-04-28 公開
執筆者
ジャーナリスト
田幸 和歌子
医療ジャーナリスト。1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。「週刊アサヒ芸能」で健康・医療関連のコラム「診察室のツボ」を連載中。『文藝春秋スーパードクターに教わる最新治療2023』での取材・執筆や、健康雑誌、女性誌などで女性の身体にまつわる記事を多数執筆。