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人工膝関節置換術でトップクラス 埼玉協同病院関節治療センター副センター長・桑沢綾乃さん

人工膝関節置換術でトップクラス 埼玉協同病院関節治療センター副センター長・桑沢綾乃さん
病気・治療
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変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術の症例数で国内トップクラス、女性医師としては首位に立つのが埼玉協同病院関節治療センター副センター長で、整形外科部長の桑沢綾乃さん。その手術の仕上がりの美しさは同業者からも高く評価され、首都圏全域から多くの患者が集まってくる。

「関節手術用の支援ロボットを3台導入していますが、1つの病院で3台のロボットを持っているのはここだけ。ロボットは正確な手術を確実にアシストしてくれるし、低侵襲手術への患者さんの期待にも応える環境が整備されているので、私自身も手術がしやすいんです」

そんな手術のスペシャリストとして知られる桑沢医師は、一方で脂肪由来幹細胞移植やPRP療法など「再生医療」の実績でも突出した症例数を持っている。

どうしても手術を避けたい患者には、治療の選択肢の一つとして再生医療を提示することができるのも同院の強みだ。

しかし桑沢医師は言う。

「再生医療の場合、予想以上の効果が得られるケースがある半面、思うような結果が得られずに手術に移行することも少なくない。現状においてこの分野での再生医療は、関節の変形軽度であれば“進行抑制”が目標。変形の強い場合、根本的に治すには手術が必要になるのも事実です」

そうしたネガティブな情報も、症例数が多いからこそ事前に正直に伝えられる。双方が納得の上で治療に進めるのは、患者と医師の双方にとって大きなメリットだ。

何でも手術、何でも再生医療―と決めつけるのではなく、患者とよく話をして、その人の生活をよりよくするために最適な治療は何なのかを見極めたうえで治療計画を立てていくことにこだわり抜く。桑沢医師の姿勢が、多くの患者の支持を得る要因となっているようだ。

桑沢綾乃(くわさわ・あやの)

埼玉協同病院関節治療センター副センター長。静岡県焼津市生まれ。2001年、東京女子医科大学卒業。川崎市立病院、東京女子医科大学附属青山病院、東京医療センター、亀田総合病院勤務を経て、08年から埼玉協同病院勤務。2018年から現職。日本整形外科学会専門医・日本人工関節学会専門医・日本再生医療学会専門医・日本リウマチ学会リウマチ専門医。趣味はハープ演奏。

「健活手帖」 2022-07-31 公開
執筆者
医療ジャーナリスト
長田 昭二
医療ジャーナリスト。日本医学ジャーナリスト協会会員。1965年、東京都生まれ。日本大学農獣医学部卒業。医療経営専門誌副編集長を経て、2000年からフリー。現在、「夕刊フジ」「文藝春秋」「週刊文春」「文春オンライン」などで医療記事を中心に執筆。著書に『あきらめない男 重度障害を負った医師・原田雷太郎』(文藝春秋刊)他。