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生活の中にある毒の侵入ルートとデトックス法

生活の中にある毒の侵入ルートとデトックス法
エイジングケア
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昨今、「デトックス(Detox)」というワードをよく見ます。英語のdetoxificationの略語で「de(否定)」+「toxicus(毒の)」に由来し、体内にたまった有害毒物を排出させることを意味します。ところで、それらの有害毒物はどこから侵入してくるのでしょうか? 主な侵入ルートは6種類です。

①食事
食品の長期保存や見た目を重視して生産効率を上げるために多くの毒が使用されています。加工食品の添加物、農産物の殺虫剤、防カビ剤、除草剤、化学肥料、家畜類のホルモン剤、殺虫剤、抗菌剤などです。

②医薬品やサプリメント
医薬品や添加物は体にとって異物(=毒)です。

③皮膚
化粧品に含まれる、合成界面活性剤、保存料、着色料、石油由来のタール系原料などは経皮に分類されます。

④呼吸
われわれが呼吸する際に空気中から侵入する毒として、制汗スプレー(アルミニウムや銀)、虫除けスプレー、カビ、大気汚染、ダイオキシン、アスベストなどがあります。

⑤日用品
普段使用する日用品の中にも多く含まれます。洗剤、柔軟剤、塩素系漂白剤、除菌・抗菌スプレー、防腐剤、香料、着色料などがそれにあたります。

⑥歯科治療
インプラントの金属やアマルガムなどです。

経口摂取で取り入れたものは肝臓と腎臓などで解毒作用を受けるため排泄(はいせつ)されやすいです。そのため、消化器官(胃や腸)を吸収ルートとする①と②は食事の工夫により、デトックスしやすいのです。

ただし、排泄されやすいのは水溶性毒素。脂溶性毒素は取り込まれると脂肪に蓄積されたり、肝臓で解毒されずに脂質の代謝ルートにのって脳を含む全身に運ばれたりして、排毒に長い時間がかかります。食事での排泄は難しく、低温サウナや岩盤浴、半身浴などで時間をかけてじんわりを汗をかくことが排泄ルートとなります。

石油から作られた合成化学物質は、油に溶けやすく、体に入った後は脂肪組織にたまりやすいので注意が必要です。食品添加物、農薬、殺虫剤の中にも石油由来のものがあります。

水溶性毒素や肝臓、腎臓で解毒されるものでも、多過ぎれば排泄しきれず、脂肪組織にたまっていきます。皮下・内臓脂肪、ほとんどが脂肪で構成される脳、肝臓などに蓄積されていきます。

脂肪組織にたまった毒素は排泄しにくく、ビタミンやミネラルなどの栄養素が細胞に吸収されるのを阻害する働きもあり悪循環です。食べ過ぎないことやアルコール、ジャンクフード、たばこなど体に負担になるものを控えたり、断食して内臓を休ませたりすることも大切です。

毒の蓄積により、免疫力の低下、代謝機能の低下、肝臓・腎臓障害、認知機能の低下、アレルギー誘発、がんの発症、ホルモンバランスの乱れ、生活習慣病、体調不良などが引き起こされます。デトックスを行うことで、これらのリスクが軽減される可能性が高いのです。

デトックスのポイント

☆日常生活には主に6つの毒侵入ルートがある
☆経口による有害物質の摂取は、食事の工夫でデトックスしやすい
☆脂溶性毒素は水溶性毒素に比べて解毒しにくく、脳や肝臓に蓄積されやすい

「健活手帖」 2023-04-11 公開
解説・執筆者
形成外科専門医
西嶌 暁生
医学博士、形成外科専門医、MBA。1984年7月7日生まれ、富山県出身。形成外科・美容医療の専門医として、10年以上、臨床と研究に従事。2019年から恵比寿形成外科・美容クリニック副院長。著書「だから夫は35歳で嫌われる~メンズスキンケアのススメ」(光文社)が発売中。