転倒予防 Dr.ムトーの「転ばぬ教室」

Dr.ムトーの「転ばぬ教室」(13)~筋肉を意識して空いた時間につかまり立ちを

Dr.ムトーの「転ばぬ教室」(13)~筋肉を意識して空いた時間につかまり立ちを
予防・健康
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家の中で、初心者からできる「転倒予防体操」。2日目は立って行う簡単な体操を2つお伝えします。

かかと立ち

必ず安定している物につかまって行ってください。台所のシンクなどが、ちょうどいい高さだと思います。つかまった上で、つま先を天井に向けるように上げます。膝と股関節は曲げずに、真っすぐにしたまま、つま先だけを上げます。

上げて5秒くらいキープ。これを1日10~20回繰り返します。

すねの前の筋肉を強化でき、歩くとき、つま先が上を向くようになります。その結果、つまずきにくくなるのです。

つま先立ち

「かかと立ち」と反対に、かかとを持ち上げ、つま先立ちになります。それ以外のやり方は「かかと立ち」と同じです。必ず安定している物につかまって、膝と股関節は曲げずに、まっすぐにかかとを持ち上げてください。

上げた状態で5秒くらいキープしてから戻す。これを1日10~20回繰り返します。

ふくらはぎの筋力の強化につながり、歩くとき、しっかりとつま先まで蹴り出せるようになります。

かかと立ちもつま先立ちも、家の中はもちろん、オフィスでの休憩タイムにも、電車やバスを待っている間などにもできます。空き時間を使って、ムリせず続けてみてください。

こうした運動において大事なのは、筋肉を意識して使うことです。

「火事場の馬鹿力」という言葉があります。切迫した状況に置かれると、普段出ないような強い力が出ることのたとえですが、実際に、気合を入れると人間の筋力はアップします。

たとえば重量挙げの選手は、バーベルを持ち上げる前に大きな声を出します。声を出して気合を入れるわけですが、そうすることによって、筋力がアップすることが、生理学的に認められているのです。

ですから筋肉は、漫然と使うより、意識して使ったほうがいい。重量挙げの選手ほど大声を出す必要はありませんが、運動のとき、階段を昇るときなどは、「これからこの筋肉を使うぞ」と心の中で呼びかけて使ってみてください。

筋肉はあなたの呼びかけに答えてくれるはずです。

イラスト・内山弘隆

「健活手帖」 2022-07-28 公開
監修者
医師、東大名誉教授
武藤 芳照
1950年生まれ。医師。75年名古屋大学医学部卒業。東京厚生年金病院整形外科医長、東京大学教育学部教授、同大学理事・副学長、日本体育大学保健医療学部教授などを歴任。日本転倒予防学会初代理事長、一般社団法人スポーツ・コンプライアンス教育振興機構代表理事。スポーツ医学、身体教育学等の著作は100冊を越える。現在、一般社団法人東京健康リハビリテーション総合研究所代表理事・所長。東京大学名誉教授。