家の中で、初心者からできる「転倒予防体操」。2日目は立って行う簡単な体操を2つお伝えします。
かかと立ち
必ず安定している物につかまって行ってください。台所のシンクなどが、ちょうどいい高さだと思います。つかまった上で、つま先を天井に向けるように上げます。膝と股関節は曲げずに、真っすぐにしたまま、つま先だけを上げます。
上げて5秒くらいキープ。これを1日10~20回繰り返します。
すねの前の筋肉を強化でき、歩くとき、つま先が上を向くようになります。その結果、つまずきにくくなるのです。
つま先立ち
「かかと立ち」と反対に、かかとを持ち上げ、つま先立ちになります。それ以外のやり方は「かかと立ち」と同じです。必ず安定している物につかまって、膝と股関節は曲げずに、まっすぐにかかとを持ち上げてください。
上げた状態で5秒くらいキープしてから戻す。これを1日10~20回繰り返します。
ふくらはぎの筋力の強化につながり、歩くとき、しっかりとつま先まで蹴り出せるようになります。
かかと立ちもつま先立ちも、家の中はもちろん、オフィスでの休憩タイムにも、電車やバスを待っている間などにもできます。空き時間を使って、ムリせず続けてみてください。
こうした運動において大事なのは、筋肉を意識して使うことです。
「火事場の馬鹿力」という言葉があります。切迫した状況に置かれると、普段出ないような強い力が出ることのたとえですが、実際に、気合を入れると人間の筋力はアップします。
たとえば重量挙げの選手は、バーベルを持ち上げる前に大きな声を出します。声を出して気合を入れるわけですが、そうすることによって、筋力がアップすることが、生理学的に認められているのです。
ですから筋肉は、漫然と使うより、意識して使ったほうがいい。重量挙げの選手ほど大声を出す必要はありませんが、運動のとき、階段を昇るときなどは、「これからこの筋肉を使うぞ」と心の中で呼びかけて使ってみてください。
筋肉はあなたの呼びかけに答えてくれるはずです。
イラスト・内山弘隆