1961年に創業し、生理用品や紙おむつで国内トップシェアを占めるユニ・チャームが、男性用として初の尿もれ専用品「ライフリー さわやかパッド」を発売したのが2014年。当初の3種から今では7種になり、市場規模は約6倍に。“もれ事情”は男女共通の関心事となった。
同社広報担当の渡邊仁志氏が、男女の“もれ事情”の違いを説明する。
「男女では尿もれの発生の原因や症状が異なります。そもそも尿道の長さが女性は約4センチで、男性は約20センチと大きな違いがあります。その上、女性は出産により骨盤底筋群が出産や加齢によって筋肉が傷んでダメージを受けたり、弾力性が低下したりすることでくしゃみや咳などの刺激でも、尿が約4センチの尿道から“チョピッもれ”につながりやすいのです」
男性には、その構造上、別の問題もある。
「こうした腹圧性尿失禁は、男女共に加齢による筋肉・神経の衰え、急な体重増加などが関係して増えてきます。簡単に言うとストッパーが効かなくなりもれやすくなる。男性は尿道が長いゆえ、健康な方でも用を足したあと尿道に残った“残尿”が<じわっ>と追っかけでもれ、下着を濡らしてしまうケースがあります。前立腺肥大などの問題もあります」
さらに女性の場合、注意が必要な点がある。
「女性が生理用ナプキンを尿もれケアパットとして代用することです。形状は似ていますが機能は異なります。生理用ナプキンは、経血を吸収しますが、水分ケアに向いておりません。生理用品を尿漏れケアとして代用した場合、尿が体圧によって逆戻りして、尿が肌に触れ続けてデリケートゾーンの炎症につながる可能性があります。一方、尿もれケア専用品は、正しく使用することで、アンモニア臭を閉じ込め、素早く尿を吸収します」
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男性用と女性用の尿もれパッドはこんなに違う(ユニ・チャーム提供)
高齢化が加速するなか、テレビで「尿もれケアのパッド」「大人用紙おむつ」の広告が頻繫に流れ、尿もれは誰もが経験することとして浸透した。自治体の庁舎や公共施設、企業に男性用トイレにもサニタリーボックス(汚物入れ)を設置する動きが広がっている。
男性も、前立腺がんなどの病気治療の影響や、加齢により尿もれでパッドを使う人、性的マイノリティーへ配慮した環境が整えられつつある。
トイレにサニタリーボックスがデフォルトである女性側は、男性トイレにサニタリーボックスがなかった事実さえ知る由もなかったが、これまで、男性の尿もれパット使用者はどうしていたのだろうか。
「女性はトイレに行くたびに生理用品を交換する習慣があるため、尿もれケアのパッドも同様に定期的に交換します。一方、男性の多くは、尿もれケア用品を使用する習慣がなかったことから、自宅で着用し帰宅後交換する傾向にあります。よって、1日1枚という使用方法が多いように感じます」
男性の場合、「飲んだ翌日」「グレースーツの日」「長時間の会議がある日」といった不測の事態に備え、多大な安心感を与えてくれる「お守り」としての存在になりつつある。