ひな祭りはちょっと前でしたが、思い出話をひとつ。わが実家のおひなさまは、とあるイベントがあった際に作られた記念品的なものです。確か、両親が買い与えてくれたおひなさま、「衣装も顔もしっかり見せたい」という作り手の気合がこもっているのか、お内裏さまとおひなさまのカップルのみではありますが、全体的に大きく、しかもお二人は立っていました。どちらかといえば、座っているのが多数派だと後々知って衝撃を受けたことも。
私が義務教育中は毎年飾っていた記憶がありますが、いつからか「あ、今年出してないや」と押し入れにしまいっぱなしにしたまま、月日が流れていきました。クリスマスツリーや七夕飾りもまた同じような感じでしたね。七夕飾りはその都度、用意する形式なのでキット的なものを買って簡単に済ませることも可能ですが、おひなさまやクリスマスツリーは出す&しまうがセットになるため、ついものぐさマインドに陥りがちです。
おひなさまの起源は厄払いの意味を込め紙の人形を川に流す…いわゆる身代わり人形として中国から伝わり、日本でも広がったといわれています。それが日本独自の人形遊びとも混ざり合い、今の飾るおひなさま文化が生まれたそうです。
地域によっては現在も厄よけや身代わりとして紙のおひなさまを川に流す風習があるとのこと。災難を身代わりに受けてもらう「流しびな」、女児の健やかな成長と良縁を願う「飾りびな」。どちらも娘のために何とか頼みます! という親の強い願いを感じます。
念じる気持ちが強すぎて、「3月3日におひなさまをしまわないと婚期を逃す」「しまったままでいると不幸になる」「縁起が悪い」「立派な女性になれない」みたいな、今なら物議を醸しかねない圧の強いジンクスが生まれたのかもしれません。
以前、テレビ番組の特集で「ひな人形にまつわる言い伝え」について、あれこれ問われたひな人形職人さんが「出せないときは仕方ないし、しまうときもゆっくりで大丈夫です。これらは、昭和初期に生まれた行事を大切にしすぎた方々が編み出してしまったフェイクですから…」とにこやかに解説されていたのを思い出したため、ここに記しておきます。