50歳を過ぎて、自分のシルエットが老けてみえるようになった人はいませんか?
それはサルコペニアの予兆かもしれません。筋肉の分解・減少により筋力が低下した状態をサルコペニア(sarcopenia)と呼びます。
加齢により筋肉量が減少すると、見た目年齢が老けるだけでなく、体力が落ちて生活の質も下がります。
サルコペニアとなる3大原因は、①加齢②栄養不足③運動不足です。
広背筋・腹筋・膝伸筋群・臀筋群などの抗重力筋において多く見られます。例えば、広背筋と腹筋の筋力が低下した場合、猫背になって老けてみえます。
では、なぜ筋力は低下するのでしょう。
例えば、下肢筋肉量は20歳頃をピークに減少し始め、60歳以降は年に約1%ずつ減少していきます。
50歳男性で約19キロあった下肢筋肉量は85歳以上では約13キロとなり、40年間で約32%減少するといわれています。
骨格筋はたくさんの筋繊維の束からできています。筋繊維は再生と分解を繰り返しており、運動すると筋幹細胞が増殖し、筋繊維が再生されて増加します。
若い時はこのサイクルが効率的で活発ですが、年を重ねるごとに再生効率が落ちて、分解のほうが勝り、筋肉が減少するのです。
では、このサルコペニアを防ぐにはどうしたらいいでしょう。
老いは誰にでもやってきますが、栄養不足や運動不足は改善できる余地があります。筋肉にとっても肌にとっても大切なことは、良質なタンパク質を十分量摂取することです。
1日に必要とされるタンパク質は体重1キロ当たり1グラムとされていますが、加齢とともにタンパク質合成の効率は落ちるため、筋肉量を増やしたい男性は、体重当たり1.5~2グラムをお勧めします。体重65キロの男性ならタンパク質97.5グラムが最低ラインとなります。
また、この時、同じ種類の肉ばかりを食べずに牛肉、豚肉、鶏肉などのさまざまな種類や部位をバリエーション豊かに食べたほうが摂取できる栄養素の幅が広がります。
きのこや魚介類などからビタミンDを一緒にとると、タンパク質の合成が促進されるため効率よく筋肉量を増やすことができます。
「通勤・仕事中は階段の使用」がお勧め
忙しい毎日の中、運動の時間を確保することは物理的にも精神的にもつらいことがあります。
そこで私のお勧めは、「通勤・仕事中は階段を使用する」、「仕事帰りに一駅手前で降りて歩く」です。実際、通勤や帰宅ラッシュの混在する時間帯などはエスカレーターを使うよりよっぽど早く移動することができます。
美容とは健康があって初めて成り立ちます。特に50歳を過ぎてからの美容は、健康の側面が大きく左右します。サルコペニアとは美容の根幹を揺るがす大敵なのです。
筋力低下ここに注意!
☆自分のシルエットが老けて見える原因はサルコペニアかも
☆加齢+栄養不足+運動不足→サルコペニアの3大リスク
☆体重1キロ当たり1.5~2グラムのタンパク質摂取を