薬には副作用がつきものだが、主治医から処方された薬を勝手に止めると、治るべき病気が悪化する恐れがある。副作用に注意しながら、上手に薬を活用するにはどうすればよいのか。
「まずは、お薬手帳を活用して、わからないことや気になることがあれば、お薬手帳の薬局の薬剤師に相談するとよいでしょう」とアドバイスするのは、国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎博士。
いつも通う薬局の顔なじみの薬剤師には、ちょっとした症状も相談しやすいだろう。また、2016年から、一定の条件を満たした「健康サポート薬局」の制度もスタートした。薬以外に健康に関する相談もできる薬局である。日本薬剤師会のホームページ(日本薬剤師会で検索)の「かかりつけ薬剤師・薬局のこと」の項目に、目印となるロゴマークなどが記載されているので参考にしよう。
「複数のクリニックに通っていると、1つだけのかかりつけ薬局を持つのが難しいことがあります。健康サポート薬局を活用すれば、総合的な薬の相談も行いやすいと思います」
たとえば、内科のクリニックを受診して近くの薬局に行き、整形外科のクリニックでも近くの薬局へ。このように複数のクリニックに通院していると、それぞれの薬局の「お薬手帳」を持つことになり、内容が統一されないことがある。結果として、薬の重複で健康害を引き起こす「ポリファーマシー(多剤併用)」が、特に高齢者医療で問題になっている。日本老年医学会によれば、服用する薬が6種類以上になると薬による有害事象のリスクが上がる。
「厚生労働省の相談窓口『全国の医療安全支援センター』には、全国の相談窓口の一覧表が掲載されています。疑問点などは、ご自宅近くの相談窓口に問い合わせるのも一考でしょう」(※「全国の医療安全支援センター」で検索を)
かかりつけ医、かかりつけ薬局、公的な相談窓口も活用し、ポリファーマシーや薬の副作用を避ける心掛けが大切だ。
一方で、薬の種類が増えすぎないように、日頃からの健康管理も欠かせない。
「食生活の乱れや過度のストレスなどは、病気につながることを誰もがご存じでしょう。バランスのよい食生活と運動習慣は、健康を維持するためにぜひ取り組んでいただきたいと思います」
生活習慣病予防などで「運動しなさい」と主治医からいわれても、なかなか取り組めない人もいる。平日は駅から自宅までの速歩、休日はちょっと長めのウオーキングから始めてみてはどうか。
「運動した後に温浴をすると、エネルギー代謝の向上や体力回復の効率が高くなります。できれば30分くらい休んでからがお勧めです。水分補給をしっかり行った上で、温めのお湯で疲れをとってはいかがでしょうか」
一石博士お勧めの「薬との上手なつき合い方」(別項)を参考に。薬による副作用を防ごう。
一石博士による「薬との上手なつき合い方」
□薬局で入手できる「お薬手帳」で、処方された薬の内容を管理する(スマートフォンの人は、アプリ版も便利)
□「お薬手帳」は1冊にまとめる
□薬について不安があるときには、主治医やかかりつけ薬局の薬剤師に早めに相談する
□主治医や薬剤師に相談しづらい場合は、公的な「全国の医療安全支援センター」の窓口を活用
□薬の量を増やさないように、主治医の指導に従い食生活の見直しを行う
□市販薬やサプリメントを活用するときには、主治医やかかりつけの薬剤師に相談する
□薬の副作用や飲み合わせ・食べ合わせについても、事前に聞いておく