目(眼科) 処方薬 薬乱用の危険性

薬乱用の危険性②~加齢に伴い薬の作用が変化、老化と間違われやすい副作用に気をつけよう

薬乱用の危険性②~加齢に伴い薬の作用が変化、老化と間違われやすい副作用に気をつけよう
病気・治療
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アレルギーの薬や胃薬を長年飲み続けているうちに、仕事の業績が落ちたり、もの忘れがひどくなったり…。薬を長期間に渡って安易に服用すると、副作用の認知機能低下などに見舞われるリスクを前回紹介した。冒頭の老化現象と似たような薬の副作用はいろいろある。そのひとつが視力の低下やかすみ目だ。

「トイレの回数が増える頻尿の治療で処方される『抗コリン薬』は、急性緑内障の副作用があります。また、不整脈治療薬の『Naチャネル遮断薬』は、視力低下や緑内障を悪化させます」と、国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎博士は警鐘を鳴らす。

年のせいと思い込んでいた「かすみ目」が、薬を変えてクリアになることがある。薬を服用していて異変が生じたときには、主治医やかかりつけの薬剤師に相談することがなによりだ。

「加齢に伴い起こりがちな骨密度の低下も、アレルギーの病気でよく処方される飲み薬『ステロイド』の副作用で起こります。骨粗しょう症は、抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や、糖尿病治療薬(チアゾリジン薬)などとも関連しています」

副作用は避けたいが、治療で薬の服用が必要な病気はいろいろある。無暗に薬の服用を止めて、病気が進行・悪化することは避けなければいけない。

「薬の副作用を抑える、あるいは、副作用が生じたときに別の薬に変える方法があります。医師やかかりつけ薬局の薬剤師のアドバイスを受けた上で、薬を適切に使用することが大切です。副作用を知らぬまま、漫然と服用し続けることがよくないのです」

たとえば、糖尿病の治療薬「スルホニル尿素薬」は、低血糖を起こしやすいことで知られている。めまいや脱力、ひどい場合は意識がもうろうとして転倒事故にもつながってしまう。

最近は、「DPP―4阻害薬」や「GLP―1受容体作動薬」など、低血糖を起こしにくい治療薬が登場している。

「年を重ねると、身体状況の変化で副作用を起こしやすくなる場合もあります(別項)。薬を服用し始めて体調の変化が現れたなら、主治医やかかりつけの薬剤師に相談してください。放置しないようにしてください」

内科や整形外科など複数の医療機関に通い、薬局もバラバラという場合には、薬の飲み合わせによる副作用にも注意が必要となる。

「薬同士の飲み合わせや、サプリメントとの相性によっても、予想もしなかった症状や体調の変化が起こることがわかってきました。安易にたくさんの薬を服用するのは危険です」

■加齢に伴う薬の作用への変化

□消化吸収が悪くなる…薬剤によって血中濃度の上昇・低下が変化し薬の効果発現に影響を及ぼす
□体脂肪率の増大…脂溶性の薬が効きすぎることがある
□体内水分量の減少…水溶性の薬の効きが悪くなる
□肝機能の低下…肝臓が薬を代謝する能力が落ちる
□腎機能低下…腎臓が薬を排せつする能力が落ちる

※厚生労働省の資料から

「健活手帖」 2023-01-18 公開
解説
医師、医学博士
一石 英一郎
国際未病ケア医学研究センター長。医学博士。1965年兵庫県神戸市生まれ。京都府立医科大学卒。京都府立医科大学免疫内科(補体研究・近藤元治元教授)で免疫学などを学び、北陸先端科技大学院大学教授、東北大学大学院医学研究科内科病態学客員教授、同大学先進医工学研究機構客員教授を経て現職。日本内科学会の指導医。米国がん学会の正会員でもある。厚労省温泉入浴指導員。『医者が教える最強の温泉習慣』(扶桑社)など著書多数。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。