高血圧 冬の高血圧対策

冬の高血圧対策(1)~減塩、減量、感染予防を心掛け、“血圧の変動”に要注意

冬の高血圧対策(1)~減塩、減量、感染予防を心掛け、“血圧の変動”に要注意
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冬は血圧が上昇しやすい。高血圧の人はなおさらだ。食生活の見直しや降圧薬で血圧コントロールがきちんとできていればよいが、なかなかできていない人もいるだろう。冬の高血圧対策について、高血圧の治療・研究を数多く行う東京都健康長寿医療センターの原田和昌副院長に話を聞いた。

寒い屋外に出ると体がブルブルと震える。このとき交感神経が優位になって血管が収縮し、血圧が上昇。誰にでも起こる現象だが、高血圧の人は動脈硬化が進んでいるために、血圧の急上昇を起こしやすい。

「血圧が急上昇したときに、動脈硬化に生じたプラーク(血管壁のコブ)が破たんして血栓が生じる、あるいは、血管が破れることがあります。心筋梗塞、脳卒中、心不全などにつながりやすいのです」と、原田副院長は、警鐘を鳴らす。

一般に、冬場の血圧変動では、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることは知られている。加えて、原田副院長らの研究では、心不全や、心臓を動かす電気信号が乱れる心房細動も、冬場に起こしやすいことがわかってきた。

「長く続いたコロナ禍の生活環境の変化で、肥満が進んだ方はいるでしょう。肥満の方は、遺伝的な要因と関係なく、高血圧のリスクを上げます。最近、太ったという方は、今冬の血圧変動に注意しましょう」

遺伝的な要因とは、たとえば、両親のいずれかが高血圧の場合、生まれ持った体質として高血圧になりやすい。だが、肥満は体質とは無関係に高血圧のリスクを上げる。

「体重を落とせば、減塩よりも降圧に寄与します。高血圧を改善すれば、心筋梗塞や脳卒中などのリスクは下がるのです」

日本高血圧学会の『高血圧治療ガイドライン2019』によれば、上の血圧(収縮期血圧)が国民平均で4mmHg下がると、脳卒中死亡数は男性で約9%、女性で約6%(男女計で年間約1万人)減少すると推計。心筋梗塞など冠動脈疾患死亡数は、男性で約5%、女性で約7%(男女計で年間約5000人)減少。血圧をわずかに下げる努力をするだけで、命を守ることにつながるのだ。減量を心掛けることがなにより。加えて、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などにも注意が必要だ。

「例年、インフルエンザ発症をきっかけに、心筋梗塞や脳卒中になる方もいます。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症は、血栓やプラーク破たんを生じやすいのです。今年の冬は、血圧管理を意識することに加え、ぜひ感染症予防にも努めていただきたいと思います」と原田副院長はアドバイスする。

減塩、減量、感染予防を心掛けよう!
 

高血圧の診断基準

  • 診察室血圧(医療機関で測定するときの血圧)140/90(単位・mmHg)以上
  • 家庭血圧(自宅で測定するときの血圧)135/85以上
  • 正常血圧診察室血圧は120/80以下、家庭血圧は115/75以下
  • 正常高値血圧診察室血圧は120~129/80以下、家庭血圧は115~124/75以下
  • 高値血圧診察室血圧は130~139/80~89、家庭血圧は125~134/75~84

    ※厚生労働省「e―ヘルスネット」から
「健活手帖」 2023-02-11 公開
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解説
医師、医学博士
原田 和昌
東京都健康長寿医療センター副院長。医学博士。東京大学医学部卒。ハーバード大学、東京大学医学部循環器内科などを経て2012年から現職。専門は心不全、冠動脈疾患、高血圧。高齢者の心臓病や高血圧の診療・研究を数多く行っている。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。