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【ベストセラー健康本】腸活で「快眠」を取り戻そう『最高の睡眠は腸活で手に入る』(辨野義己著)

公開日:2023-03-31
更新日:2023-04-05
【ベストセラー健康本】腸活で「快眠」を取り戻そう『最高の睡眠は腸活で手に入る』(辨野義己著)
予防・健康
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コロナ禍が私たちの生活や健康に及ぼした影響は甚大だ。数ある問題の中に「睡眠障害」がある。この睡眠にまつわる問題に「腸活」の視点から切り込む本をご紹介する。『最高の睡眠は腸活で手に入る』(扶桑社刊)。著者の辨野義己氏と言えば、“ウンチ博士”の異名を取る腸活研究の第一人者である。

辨野氏が「睡眠改善」をテーマにした本を送り出した。腸の環境を改善し、腸が喜ぶ状況を作り出すことで、その先にある睡眠の改善、つまり「快眠」を取り戻す―というストーリーだ。

近年の研究から、睡眠と腸内環境の関係が解き明かされてきた。たとえば、「習慣的に乳酸菌飲料を飲む群」と「飲まない群」とで睡眠の実態を比較した研究がある。これによると、「乳酸菌飲料を飲む群」は「飲まない群」に比べて、脳波レベルで深い睡眠が得られることが分かったのだ。

精神的ストレスがかかると唾液中に増えるコルチゾールという物質があるのだが、乳酸菌飲料を飲んでいる群は、たとえストレスが溜まってもコルチゾールの増加に抑制がかかっており、これが睡眠の質を保たせているのではないか―と考えられる。

そもそも腸内環境や腸そのものの健康度が高い人ほど、腸に限らず全身状態がよく、若さも保たれる、という話はよく耳にする。これは、腸が脳と深い関連を持っていることによる。「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」のおよそ8割が、じつは脳ではなく腸で作られている、という説は、医学界ではよく知られた話だ。つまり、腸を健康に保つことができれば、コロナ禍に代表される「ストレスを感じる状況」においても脳の健康は保たれて、良質な睡眠を確保できる―ということなのだ。

ならば、どうすれば腸の健康を維持できるのか。これはまさに著者の専門領域。食習慣や日常の生活習慣をひとつひとつ丁寧に見直していくだけで、腸が喜ぶ環境を手に入れることができる。この本ではその「見直す項目」と「実践すべき対処法」が、ふんだんに紹介されている。

「ここ3年あまり、コロナ禍によって多くの人がストレスフルな毎日を強いられました。ストレスは睡眠の大敵。睡眠不足などで悩んでいる方は、辨野先生による“腸の健康と睡眠との関係”を、ぜひ知ってほしいです」と語るのは、編集を担当した扶桑社の樋口淳氏。

本書を読めば、腸がいかに私たち人間の健康に重要な臓器であるかが理解できる。その理解が深まるだけで、日々の睡眠が安らかなになりそうに思えるから不思議だ。「眠れない」と困っている人も、「おなかの調子が…」と悩んでいる人も、安心感を取り戻してほしい。
 

『最高の睡眠は腸活で手に入る』(扶桑社)1760円

腸の健康度から見る「睡眠チェック」

□1日3食規則正しいく食事をしている
□野菜や豆腐、海藻などをよく食べる
□肉より魚が好き
□ヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆などの発酵食品をよく食べる
□よく噛んでゆっくり食べる
□よい睡眠がとれて、疲れが残らない
□毎日30分以上の運動か9000歩以上のウオーキングをする
□ストレスを上手に解消している
□肌荒れなどの肌トラブルがない
□毎日決まった時間に排便がある
□便は強くいきまなくてもスルッと出る
□便は、においはあってもきつくない
□便は、黄色~黄色がかった褐色
□便の量はバナナ2~3本ほど

◎判定=当てはまる項目が5個以下の人は、いますぐケアを!

「健活手帖」 2023-02-17 公開
執筆者
医療ジャーナリスト
竹中 秀二
学生時代から食品業界の専門紙でアルバイト原稿を執筆。大学卒業後は出版社に勤務し、児童向け書籍や学術誌の編集を担当。その後フリーとなり、新聞、雑誌で医療健康関連の取材を重ねる一方、医療や芸能関連書籍の企画・編集・取材・執筆を行う。