人生100年時代の今、高齢者として過ごす時間は長い。気になる不調や病気を抱えつつ、前向きに生きるには? 「シニア」「男性」をメインターゲットにセルフケアをまとめた1冊を紹介したい。
シニアが抱える諸症状を網羅的に取り上げ、効果的な対処法について医師をはじめとする複数の専門家監修のもと解説するのが、『男の健康読本』(宝島社刊)だ。
巻頭では和田秀樹医師が健康長寿の鍵として男性ホルモンを挙げる。男性ホルモンは性欲を増進するイメージが強いが、実は「意欲」のホルモンで、筋肉をつけるためにも必要だ。
また、くすりは血圧や血糖値、コレステロール値を下げる「引き算の医療」で、それらは活力も奪ってしまうのに対し、和田医師は「足し算の医療」を勧める。特に重要なのは、男性ホルモンとタンパク質だと言う。加えて、和田医師は「ナイスシニアになるため」の3カ条を挙げている。
- 「現役」であることを恥じない
- なんでもやってみる
- 見た目の若々しさを保つ
他にも腰痛、ひざ痛、脊柱管狭窄症、尿漏れ・頻尿対策など、さまざまな症状に対応するが、多くのシニアが関わる「歯周病」を紹介しよう。
口腔内の健康状態は全身の老化にも大きく影響し、歯周病菌やそれが作り出す物質が全身に運ばれると、さまざまな臓器に悪影響を及ぼす。脳に到達した場合、動脈硬化や認知症の危険性が上がり、心筋梗塞のリスクが15%、脳梗塞など脳血管疾患のリスクが13%高まるといわれる。
歯周病に限らず、歯で食べ物を噛めなくなると、摂取する栄養素が偏り、老化が進行、咀嚼や嚥下に大きく影響する。口腔環境を改善すること、そのために唾液の分泌を促すことが重要なのだ。そこで、森永歯科医院の森永宏喜院長が勧めるのが、以下のトレーニングである。
【舌トレーニング】
- 大きめのスプーンを口の前に立てて持つ。舌を尖らすようにして、まっすぐスプーンを押し出す。この時、スプーンで舌を押し返す
- 舌でスプーンを右に押し出し、スプーンでそれを押し返す。同様に反対側も
- スプーンの背を舌の上に乗せ、舌を上げようとするのをスプーンで押し下げる(※それぞれ5回ずつ食前がお勧め)
編集担当の島袋尚也氏は言う。
「日々悩まされる体の痛みや不調も、この本があれば自力でケアできます。美女のお手本写真入りの解説だから楽しく読めて、自宅でおひとりでできますからお手軽です。和田先生がおっしゃるように、より元気に生きてゆくためには自分で取り組む必要がありますが、この本にはハツラツとした〝ナイスシニア〟に近づくヒントがたくさん書かれていますので、ぜひトライしてみてください」
気になる項目から読める必携の1冊。
『男の健康読本』(宝島社)990円
オーラルフレイル判断チェック
□歯の数が20本未満
□舌を器用に動かす能力の低下
□咀嚼する能力の低下
□舌の押す力の低下
□半年前より硬い物が嚙みにくい
□お茶や汁物でむせる
※3つ以上当てはまる場合はオーラルフレイルの疑い
(第2章「歯周病が大病を招きかねない!」から)