尿もれ、頻尿、夜間頻尿など、尿トラブルは中高年の多くが抱える悩み。相談しづらく、病院にも行きづらい人も多いだろう。そんなトイレの心配をまるごと泌尿器科の名医が解決する1冊が、『尿もれ、頻尿、前立腺の本 名医が教える尿の悩みを根本から治す方法』(日経BP刊)である。
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監修は、日本大学医学部教授の高橋悟医師=写真=をはじめ、泌尿器科の名だたる名医たちだ。刊行したきっかけを担当編集者の竹内靖朗氏が語る。
「50代や60代など現役で働いている人でも、頻尿や尿もれなどで悩むことがあります。悩みが悩みだけに、人に相談できず、病院にも行きづらい。忙しくて時間がない人でも、尿トラブルについてしっかり理解できて、自分の症状を自分で改善する方法がわかる本を作りました」
本書によると、尿トラブルの多くは簡単な運動や食事・水分のとり方の見直しなどのセルフケアで改善できるという。実は筆者の高齢の父もずっと夜間頻尿の悩みを抱え、かかりつけ医からは「年のせい」と言われるばかり。
そこで、桜十字病院上級顧問の吉田正貴医師が監修した第2章「夜間頻尿」を中心に読んだ。
夜間頻尿は日本排尿機能学会が40歳以上の日本人を対象に行った調査では、60代で約8割、70代以上になると約9割。加齢は大きく影響しているものの、原因は大きく以下の3つに分けられ、原因によって対策も異なるという。
夜間頻尿の3つの原因
- 夜間多尿=夜間に出る尿の量が増える
- 蓄尿障害=膀胱(ぼうこう)にうまく尿がためられず、夜中に尿意をもよおす
- 睡眠障害=寝つきが悪い、あるいは眠りが浅いために目が覚め、トイレに行く
このうちシニア世代の夜間頻尿の大部分を占めるのが「夜間多尿」で、原因は「抗利尿ホルモンの減少」「心臓のポンプ機能の低下」「高血圧や糖尿病およびその治療薬の一部」「水分のとりすぎ」など。
夜間多尿には、下半身にたまった水分を血管に戻し、就寝までに尿として排出することが有効で、そのためには就寝4~5時間前に下半身のむくみを解消しておくことが重要だという。
夜間頻尿を減らすための水分摂取のポイント
- 1日の水分摂取量の目安は1.5リットル(食事に含まれる水分を除く)
- 野菜サラダや果物は、夕食やデザートとして食べるよりも、昼間に多くとるようにする
- 夕方以降はカフェインを含む飲み物やアルコールの摂取はできるだけ控える
本書が勧める「夕方の足上げ」を紹介したい。
夕方の足上げ
1:仰向けで寝て、クッションなどの上に足を乗せ、10~50センチの高さにする
2:1の姿勢を30分程度維持する。壁などを使って足を上げる方法でも可
同様の理由から、他に就寝の4~5時間前にウオーキングをすることや、足のむくみ予防の「弾性ストッキング(ハイソックスタイプ)」なども有効という。早速、遠方に住む父親に弾性ストッキングを送り、夕方の足上げを勧めた。
家族のため、自分のためにも、何かと心強い1冊だ。
『尿もれ、頻尿、前立腺の本 名医が教える尿の悩みを根本から治す方法』(日経BP)1540円