新タイトルで生まれ変わったメディカルムック
昨年まで『スーパードクターに教わる最新治療』というタイトルだったメディカルムックが、生まれ変わって登場した。『スーパードクターに教わる最善予防と最新治療2025』(文藝春秋刊、1400円)がそれだ。
日本医療の最前線を分かりやすく解説
「この一冊で日本の医療の最前線がよくわかる」というキャッチコピー通り、各医療分野の第一人者の医師たちが、平易な言葉で病気や症状の解説をしてくれる。
2019年の刊行以来今年で6冊目。これまで「最新治療」を柱に据えてきたが、今回から「予防」を加えて二本柱での構成となった。
生活習慣病の特集記事が目玉
「大きな特集記事としては『生活習慣病の最前線』で、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、歩行と疾患という、今後大きな病気を招きかねない生活習慣と疾患についての最新の研究をリポートしています」と語るのは編集を担当した文藝春秋メディアプロデュース室の杉下一浩氏。
がん検診や予防に重点を置いた構成
症状が無いことから放置されがちな生活習慣病も、ひとたび合併症を起こすと命にかかわる事態になる。その恐ろしさを説き、どうすれば予防や治療、コントロールができるのかを、丁寧に解説する。
がん治療のページでは、「対策型」と「任意型」のそれぞれのがん検診を解説。各疾患の解説でも予防を意識した紙面づくりが魅力だ。
患者のインタビューで現実を伝える
巻頭のインタビューは、今年夏に病気を公表した梅宮アンナ(乳がん・浸潤性小葉がん)と佐藤弘道(脊髄梗塞)が登場。それぞれ、病気が分かるまでの経過、治療内容、患者としての心境などを語っている。
話題の医療分野を網羅
ほかにも、現代社会の大きな問題である「依存症」や近年注目されている「都市圏の在宅医療」、高齢者医療では「認知症」「在宅歯科」「嚥下障害」など話題の医療分野を網羅し、高い水準の記事で構成している。
スーパードクターによる読みやすい解説
タイトルに「スーパードクター」とある通り、登場するのは、日本の医療界を牽引する医師ばかり。ふだん簡単に話を聞くことのできない“ブラックジャック”たちの解説は、いずれも最新の知見に基づいた貴重なアドバイスを凝縮。一方では読者の理解を深めるため「読みやすさ」に徹底的にこだわったという。
通して読むことで得られる深い理解
自分の興味のあるページだけを選んで読むのもいいが、時間に余裕があるなら何日かかけて、初めのページから順に通して読んでいく方法をお勧めする。凡百の医療解説書と違い、一見難しそうに見える医療情報が、砂地に水がしみ込んでいくように脳に吸いこまれていくはずだ。
前出の杉下氏は、「人生100年時代、健康寿命を延ばすために役立ててほしい」と話している。
本書が扱う疾患と話題
【生活習慣病】高血圧症、脂質異常症、糖尿病、歩行と健康ほか
【がん】大腸がん、肺腺がん、膵臓がん、乳がん、肝がん、咽頭がん、悪性リンパ腫、がん検診ほか
【一般疾患】脳卒中、心筋梗塞、腰痛、白内障、パーキンソン病、皮膚疾患、無痛分娩、睡眠障害、虫歯・根尖性歯周病根管治療ほか
【高齢者医療】認知症、在宅歯科、嚥下障害ほか