季節の変化によって現れる自律神経の乱れと、それにともなう心身の不調が気になる時期だ。なぜ季節の変わり目、気候に応じて自律神経は影響を受けるのだろうか。
さまざまな経験に基づき世界的アスリートのメンタルサポートなども行う自律神経の不調のスペシャリスト、教育会社・脳レボ代表の川谷潤太さんは、「気候の変化によって自律神経のバランスが崩れてしまうことが不調の原因といっていいと思います」と言う。
自律神経の役割と季節の影響
川谷さんは、自律神経の働きについて改めて解説する。
「呼吸や血液の循環、体温調節など、体内の重要な機能をつかさどっているのが自律神経です。自律神経は活動的にさせる交感神経とリラックスさせる副交感神経に分けられ、それが1日の間に切り替わることで体の働きをコントロールしています」
季節の変化によって、その自律神経のコントロールがうまくいかなくなってしまうことが多いということだが、なぜ季節の変わり目に自律神経は乱れやすくなるのだろうか。
気圧の変化が与える影響
「大きく影響を受けやすいのは、やはり気圧の変化です。分かりやすい例をあげるとすれば、夏から秋にかけて発生する台風です」
どういうメカニズムなのか。
「接近しながら急激に気圧が下がり、通過後もとに戻る気圧変化についていけず自律神経を乱される方は少なくありません。台風ほど急激ではなくとも、前線の通過などで気候が変化するごとに自律神経の交感神経と副交感神経の切り替えが追いつかなくなることがある。これが季節の変わり目の自律神経の乱れの原因のひとつです」
内耳と自律神経の関係
そんな気圧の変動をキャッチする器官が、中耳のさらに奥にある内耳なのだ。
「内耳は三半規管や前庭といった体のバランスを保つ器官があり、ここで気圧の状態を敏感に察知して脳に伝える機能があります。それが気圧の急激な変化によって、ある種の負荷、ストレスがかかります。その負荷のために交感神経が活発に働き出すようになるんです。そして、気圧変化でのストレスばかりでなく、心理的な要因でも負荷はかかります。さらにいえば、気候変化によるストレスが心理的なストレスに発展することもありますので注意が必要です」
気温変化による乱れにも注意
季節の変わり目の自律神経の働きに影響を与えるのは、気圧の変化ばかりではない。
「気温の変化も自律神経が乱れる原因のひとつとして考えられます。冬場は寒い外と暖房の効いたお部屋や交通機関などとの寒暖差にやられてしまうこともあります。基本的に交感神経は、寒くなると優位に働く傾向があります。寒さのために体温を上げようという機能が働くのですが、寒暖差の大きな場所に出たり入ったりすることで、この機能がバグってしまう状態になるわけなのです」