長寿 健康長寿の秘訣に迫る

健康長寿の秘訣に迫る(1)~おっくうがらず「趣味・筋トレ・人間関係」拡大を

健康長寿の秘訣に迫る(1)~おっくうがらず「趣味・筋トレ・人間関係」拡大を
予防・健康
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90歳まで病気・ケガなし…なぜ?

人生100年時代と言われる中、その最後の関門は90代の壁をいかに乗り越えるかにある。90歳まで病気やケガなしで生きたきた人はまれだろう。長寿の秘訣は何か?

佐藤愛子原作の映画「九十歳。何がめでたい」がロングラン上映を続け、  「90歳」という年齢が改めて注目されている。90代を寝たきりではなく、元気に過ごすにはどうしたらいいのか。

「長寿アドバイザー」が自ら実践する「健康長寿5カ条」

現在90歳で、長寿アドバイザーとして活動する中村明さん(元富士通役員待遇)に聞いた。中村さんはネットワークの黎明期に専門家として知られた人物。定年後のライフスタイルにも一家言があり、以下の5カ条の長寿健康法を提唱する。自身の例も踏まえ、こうアドバイスする。

①生活の緊張感を維持する

生活の緊張感を維持することは認知機能の維持に直結する。「会社員は定年後、仕事がなくなると解放感がある一方で、日常生活に張りがなくなります。仕事を引退した人は仕事以外のことで日常に緊張感を保てるように工夫する必要があります」と中村さんは助言する。

②人間関係を維持・拡大する

人間関係の維持・拡大に関して、中村さんは「女性は友人や近所づきあいが多いが、男性は定年後、人間関係が縮小する人が少なくありません。人と交流して話すことが大切です。その会話から他人から学ぶことができます」と語る。

③趣味・スポーツを続ける

趣味では、中村さん自身、週1回スペイン語教室に通っている。「シニア世代はおっくうがらずに、趣味があれば、日常生活を生き生きとさせてくれます」。

中村さんはスポーツジムで無理のない範囲で筋肉トレーニングも続ける。「ひざが痛いなどの理由でスポーツが無理な人は、自分に合った方法で体を動かすといいでしょう」

④旅をする

旅に関して中村さんは退職後、「マアルマートツアー」(エリコ通信社主催)に参加し、一般のツアーでなかなか行けない海外を旅している。ロシア侵攻前の時代、ウクライナを訪問したことも=写真。国内では今年、長崎県五島列島の旅ではキリシタンの歴史にも触れた。「旅をすれば、新たな見聞が得られ、生きる活力も湧いてきます」

⑤助言してくれる人を持つ

助言をしてくれる人に関しては、中村さんの場合は、整体師から「体が冷えている」と言われたことがある。それまで早朝に水を3杯かぶる習慣があったが、整体師の指摘を機に80歳でやめた。以来、体の冷えが改善されたという。

「自分の判断が誤っていることがあります。日ごろ、気楽に相談できる家族や友人のほか、健康・医療面では信頼のできるかかりつけ医を持つと安心でしょう」

なにごとにもおっくうがらず生活

冒頭に触れた「九十歳。何がめでたい」に主演した草笛光子さんは“等身大”の90歳。現役で役者を続けられる秘訣は「週に1回、パーソナルトレーナーによるトレーニングを行うほか、何事にもおっくうがらずに生活する」ことを映画の取材で明かしている。中村さんの5カ条に重なる部分がある。

上記の5カ条、チェック項目が4つ以上で合格、2つ以下だと改善の余地があるそうだ。

中村明(なかむら・あきら)

1934年、千葉県生まれ。横浜国立大学卒業後、富士通入社。スペインの現地法人「富士通エスパーニャ(スペイン)」の社長に就任。帰国後は部長などを経て出向したニフティで常務に。定年時に富士通会長から復社の要請があり、63歳まで富士通役員待遇として勤務。著書に『ネットワークの達人』(ごま書房)など。

執筆者
「健活手帖」 編集部