フリーテストステロンが男性の人生に活気を取り戻す
形成外科専門医 西嶌暁生

フリーテストステロンは50歳頃から大幅に減少
若い頃からがむしゃらに働き続けてきた男性が、50歳を過ぎたとき、突如として体に無理が利かなくなった自分に気が付くことがあります。
これは、若い時には体内に豊富に存在したフリー(遊離)テストステロンが50歳になる頃には大幅に減少することが原因のひとつです。
男性も50歳を過ぎるとホルモン値は下がり、筋肉は衰え、早朝勃起もなくなります。「それが年を取ること」と言えばそれまでですが、そこで諦めてしまったらヨボヨボ路線まっしぐらです。
男性にとってフリーテストステロンは若々しく生きる源なのです。
一般の方にとって、フリーテストステロンという単語はあまりなじみがないと思います。
テストステロンの90~95%は精巣(睾丸)のライディッヒ細胞で作られます。
その大部分が性ホルモン結合グロブリン(SHBG)やアルブミンなどと結合し、実際のフリーテストステロンは約4%といわれています。
フリーテストステロンは、血中を自由に動き回って受容体に結合することができるので最も強く働きますが、言い換えると、フリーテストステロンの減少が活力の低下、メタボ体形(中年太り)、筋力低下、精力減退、うつ症状などが生じる男性更年期の主たる原因となります。
フリーテストステロンと性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の関係
では、フリーテストステロンとSHBGの関係についてみていきましょう。
血中のSHBGが増加するとフリーテストステロンが減少するため、SHBGを必要以上に増加させないことが男性更年期の対策となります。
SHBGを増加させる要因としては、アルコール、肥満、運動不足、医薬品などがあります。
医学的にはホルモン補充療法などがありますが、今回は無理のないセルフケアに注目します。
無理せずできる4つのセルフケア
- 週に2回、30分の筋力トレーニングを行う
- デジタルデトックスをして6時間以上の良眠をとる
- タンパク質と亜鉛を意識的に摂取する
- 背筋を伸ばしてしゃんとした姿勢を心がける。
なお、現行の健康保険の場合、総テストステロンとフリーテストステロンを同時に検査することは、保険適応が認められない場合があります。
フリーテストステロンのポイント
- 50歳を過ぎてからの活力低下は男性更年期が原因かも
- 男性の活力にはフリーテストステロンが重要な役割を担っている
- セルフケアでの対策法もある