水とアンチエイジングの古い歴史
以前の日本では、「温泉で社員旅行」という光景は少なくありませんでした。特に50歳以降の男性にとって、社員旅行は身近なものだったと思います。最近ではすっかり少なくなりましたが…。冬真っただ中の今、自分へのご褒美として日頃の疲れがたまった男性の体を温泉で癒やすのはいかがでしょうか。
歴史的に「水」がアンチエイジングに利用されるということはよくありました。
例えば、19世紀にオーストリア=ハンガリー帝国のエリザベート女王は「世界最初の香水の原型」と言われるハンガリー水を考案しました。フランスの「ルルドの泉」はどんな病も癒やす力がある奇跡の聖水と呼ばれていたりします。
そして、日本の温泉も医学的知見から、アンチエイジング効果を期待できる水質が少なくないのです。
細胞のデトックスと肌の若返り効果
そんな温泉の美容効果として代表的なものは「美肌効果」です。
温泉は細胞内の老廃物をデトックスする効果と、皮膚そのものに作用する効果があり、インナーケアとスキンケアが同時に期待できる優れものです。
例えば、弱アルカリ性の泉質の温泉に入ると、皮膚の表面がツルツルになり保湿効果もあります。これはせっけんが皮脂と混ざって皮膚をツルツルにする効果と似ています。
草津温泉の酸性水は水素・マンガン・ヨウ素の3イオンによる殺菌作用で皮膚炎などに効果的と報告されています。
2012年にノーベル生理学・医学賞のテーマとなったiPS細胞をはじめ、近年は特定の刺激を細胞に与えることで細胞を若返らせ、万能細胞にするといった研究が盛んになっています。
温まると幸福ホルモンが分泌
これは、細胞に圧力や酸などの刺激を加えると「リプログラミング」と呼ばれる若返り現象が起きることを利用しており、温泉による「熱」も刺激のひとつなのです。
細胞に熱刺激を加えると「ヒートショックプロテイン」というタンパク質が生成されます。これは、紫外線による細胞のダメージや炎症を防ぎ、傷ついた皮膚のDNAの修復を促進してくれるほか、コラーゲンの質を向上させ、生産量を増やし分解を抑えるなど、肌を若々しく保つ効果も期待できます。
さらに、温泉に首までつかって温まると、幸福感を高める2種類のホルモン「セロトニン」「オキシトシン」が分泌されます。
最近では、オキシトシンをうまくコントロールできずにイライラする男性も増えているようです。オキシトシンは集団の仲間意識を深めることでも分泌されて、絆ホルモンとも呼ばれています。まさに温泉は仲間の絆と美容に貢献する優れものなのです。
温泉の癒やし効果のポイント
- 温泉の中にはアンチエイジング効果が期待できる泉質がある
- ヒートショックプロテインで肌を若々しく保つ
- 温泉は絆ホルモン(オキシトシン)の分泌を促す