トクホの食品って体にいいの?
形成外科専門医 西嶌暁生

信頼性の高い臨床研究で効果立証
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50歳を過ぎて自分の健康や美容と向き合うことが多くなる男性の中には「トクホなら効果がありそうだ」と意識的に選択して購入する人もいるでしょう。まずトクホとは何かを見ていきましょう。
食品に機能性を表示できる国の制度を「保健機能食品制度」と呼び、食品の機能や目的により特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性食品に分けられます。
その中でもトクホは「ランダム化比較試験」という信頼性の高い臨床研究で効果が立証されています。これは、医薬品の効果を立証する研究デザインと一緒です。
医薬品のような効果はなし
トクホは「効果がある」といっても問題ありません。ただし、注意点があります。
トクホの臨床研究は「病気の人」を対象にしていません。例えば、「血糖値が少し高めの人」などを対象としており、病気に用いる医薬品のような大きな効果はないのです。
さらに、臨床研究では「毎日1日1回」「12週間」などと毎日決められた量を、決められた期間摂取する必要があるため、実際にわれわれが摂取する条件と異なる場合がほとんどです。
臨床研究の結果はあくまで平均値を評価したものなので、効果がまったく得られないという人もいるでしょう。
トクホは劇的なダイエット効果があったり、暴飲暴食をなかったことにしてくれたりするような食品ではないのです。
メタボや生活習慣改善のきっかけに
さて、50歳を過ぎると「メタボ」が気になる男性が増えてきます。
メタボになる人は、不摂生な食事や運動不足、睡眠不足などの乱れた生活習慣が原因となる場合が多いのです。しかし、人の習慣を抜本的に変えることはなかなか難しいのが現実です。
そこで、「バランスの取れた食習慣を意識するきっかけ」としての役割を担っているのがトクホです。嗜好(しこう)品である炭酸飲料やノンアルコールビールなどのトクホをうまく活用してみましょう。
普段、炭酸飲料を飲む習慣がある男性に、飲むことを禁止したところで、ストレスがたまったり、長く続かなかったりします。
「我慢して新たな食習慣に取り組む」よりも「今ある習慣を置き換える」ほうが、男性には向いているのです。
嗜好品をトクホに切り替えることが生活習慣を改善するきっかけにできるかもしれません。
トクホとして許可される要件には「食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待できるもの」という条件があります。
そのため、トクホの製品には<食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。>の表示が義務づけられています。
トクホのポイント
- 嗜好品のトクホを上手に利用して生活習慣の見直しを
- トクホの効果は科学的に立証されているが、過度な期待には注意
- 美と健康のためにはバランスの取れた食事が大事