「浮動性めまい」の推定患者数は約2200万人
「眩暈(げんうん)」という言葉を知っているだろうか。これは「めまい」の医学用語。めまいには大きく「回転性」と「浮動性」の2種類がある。回転性は視界がグルグル回って見えるタイプ、浮動性は体がふわふわと浮いているような感覚を伴うめまいである。『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』(徳間書店、1650円)は、後者の「浮動性めまい」に「食事」で立ち向かおうという1冊だ。
「めまいに悩む人は、推定約3000万人。人口比で4人に1人います。そのうち浮動性めまいの推定患者数は約2200万人。国民病ともいわれますが、病院に行っても多くは解決しません。そこで何か対策を…と考えて、めまい治療の第一人者に執筆を依頼しました」と語るのは編集を担当した徳間書店書籍編集局学芸編集部の高畑圭氏。
めまい治療のスペシャリスト2人が執筆
著者のひとり、坂田英明氏は、川越耳科学クリニック院長を務める耳鼻咽喉科医。そして、共著者の神崎晶氏は、公立病院機構東京医療センター感覚器センター聴覚・平衡覚研究部聴覚障害研究室長。「めまい治療のスペシャリスト」2人による本書は、フワフワめまいの原因として自律神経の乱れに着目。改善策には、運動、呼吸などいくつかある中、「食事療法」の視点から掘り下げているのだ。
高畑氏は、「自律神経へのアプローチとして“食事”は盲点でした。前職で健康誌の編集長を務め、20年以上にわたって健康書を作ってきましたが初めて聞く方法です」と驚きを隠さない。
「食事6カ条」で体温の日内変動を改善
坂田氏のクリニックの調査によると、浮動性めまいの患者は総じて体温が低いことが多く、それに伴う免疫力の低下が疑われることが見えてきたという。そこで体温の日内変動を理想的な曲線を描くように高める取り組みの重要性に着目し、食事療法を取り入れることを奨励。効果を実証しているという。
そのための「フワフワめまいを治す食事6カ条」=別項=を掲げ、自律神経を整える上で望まれる食事の考え方を提案する。たとえば、起き抜けに白湯を飲むことで、体内時計のリセット、体温上昇、副腎皮質ホルモンの分泌促進—という作用が得られる。
「朝食」では、体を温める食材として、ゴボウ、ニンジン、ショウガなどの根菜類や、寒冷地域で育ったサケ、イクラなどの食材が効果的であることなど、本書では納得できる理由を元に解説している。医学的根拠があるから納得できる、食事によるめまい対策が網羅されているのだ。
「めまいで病院に行っても原因不明や異常なし、年齢のせい—と言われ困っている方々のお役に立てれば」と高畑氏は語っている。
フワフワめまいを治す食事6カ条
- 朝起きたらコップ1杯の白湯を飲む
- 朝食では体を温める食材を摂る
- 昼食は軽めに80~100グラムの糖質を摂る
- おやつに1杯のハチミツレモン水を飲む
- 夕食では体を冷やす食材を摂る
- 寝る前にコップ1杯の冷たい水を飲む