“2頭立て馬車”を歩行に結びつけ、体のゆがみを解消
「タンデム」とは本来、タテに2頭の馬を連ねて走る馬車のことだが、現代ではオートバイなどの「二人乗り」を指すことが多い。この「タンデム」を「歩行」に結びつけることで、体の歪(ゆが)みを解消し、さまざまな不定愁訴の解消を目指す歩行トレーニングの本が話題だ。
ご紹介する本は、『タンデム歩行 体を壊す歩き方が健康になる歩き方に3日間で勝手に変わる』(Gakken刊、1485円)。著者はプロの施術者に向けた技術指導で定評のある理学療法士、中村光太郎氏=写真。8万人を超える患者の歩き方を解析する中で見えてきた「ダメな歩き方と改善法」を系統立て、その対処法の教育に力を入れている。
2頭馬車のように常に両方の足が前後に接する歩き方
「タンデム歩行」とは、片側の足を一歩前に出したら、そのつま先にもう片方の足のかかとが付くように、綱渡りをするときの要領で歩く方法だ。常に両方の足が2頭連なる馬車のように前後に接しているので「タンデム歩行」なのだ。
本書によると、この歩き方を1日5分実践するだけで、骨盤の歪みが和らぎ、鍛えにくい脚の内側の筋肉を鍛えられるという。日々生じる体の歪みをリセットするのに役立つのだ。
この「タンデム歩行」、骨盤の歪みに起因する骨格筋のバランスを整えるだけでなく、プラスアルファの効果が隠されているという。編集を担当したGakkenの杉浦博道氏が語る。
歩き方を改善するだけで心身の不調の多くが改善
「歩き方を改善するだけで、心身の不調の多くが改善することが分かっているのです。これが分かったことで、歩き方を改善することなくむやみに歩き回ると、かえって心身の調子を悪化させることが見えてきた。歩き方の指導書は数多くありますが、歩き方と心身の不調の関連性まで踏み込み、改善法を示した本は見当たりませんでした」
タンデム歩行をするには、まず正しい立ち方、正しい歩き方、重心移動のルールを習得する必要があり、本書では写真と文章で丁寧に解説。正しい基礎知識を押さえたうえで、実技に進む—という正当な手法をとる。
1日5分、正しく歩くだけでも、生活習慣病が遠ざかる
正しい歩き方をサポートする「つま先上げ」「かかと上げ」などのトレーニング法も紹介。自宅で簡単に、無理なく続けられる点がうれしい。
「1日5分、正しく歩くだけでも、生活習慣病が遠ざかる」という著者。その言葉の裏には、「たくさんやればいいというものではない」というメッセージが込められている。
「いつまでも元気で歩きたい、自分のことは自分でしたいと願うシニア層はもちろんですが、悪い歩き方が原因で不調に悩んでいる若い人にもオススメの1冊です」と杉浦氏。
何をやっても不調から抜け出せなかったあなた。「歩き方」に目を向けてはどうだろう。
体を歪めるリスクのある日常生活の悪癖
- つねに首を横に向けてテレビを見ている
- ソファが柔らかすぎて座ると背中が丸まってしまう
- いつも同じ側にバッグを持っている
- スマホを眺める時間が長い