食材 長生きするための食事術 フレイル(虚弱)

長生きするための食事術(4)~いつまでも出かけられる足を作る食事術

長生きするための食事術(4)~いつまでも出かけられる足を作る食事術
予防・健康
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高齢者の多くは低栄養でフレイル(虚弱)傾向

現代の日本の高齢者に積極的に摂ってほしい食品を、「腸」「脳」の視点で解説してきた。今回は「筋」、つまり「筋肉」を蓄えるために大切な食事術について鎌田實医師が解説する。

日本人高齢者の多くが低栄養傾向にあり、「フレイル」と呼ばれる虚弱傾向にあります。この状況が続けば、たとえ平均寿命まで生きたとしても、自分の力ではどこにも行けず、ただ自宅や病院、高齢者施設でじっとしているだけになってしまいます。

私は本や講演会で繰り返しこう述べています。

「90歳でも自分の足で日帰り温泉やレストラン、演奏会や美術館に行く“足”をもっていることが重要」だと。

60歳を過ぎたら筋肉を細くしない

そのために大切なのが筋肉です。筋肉を細くしないこと、もっと言えば少し太っているべきなのです。メタボを恐れるのは60歳まで。それを超えたらフレイル対策を講じて、筋肉を蓄えることを考えるべきなのです。

そこで覚えてほしいのが「貯金より貯筋」というフレーズ。たまにはラーメンやとんかつを食べに行ってもいい、いや、食べるべきなのです。

私が推奨するのは、次の「筋肉の長生き3大原則」です。

  1. 朝のタンパク質で「朝たん」生活
  2. タンパク質は1日に体重×1.2(グラム)
  3. 3食+αでこまめに摂る

「貯筋」に役立つ「鎌田式みそ玉」

このうち、「貯筋」に役立つ、手っ取り早い「朝たん」の超便利メニューをご紹介しましょう。それは「鎌田式みそ玉」です。

3食を通じてタンパク質を摂ることが重要なのは言うまでもありませんが、中でも朝食でタンパク質を多く摂ると骨格筋指数や握力が高く維持できることがわかっています。そこで利用してほしいのが「鎌田式みそ玉」です。

みそ=16グラム(大さじ1弱)、減塩顆粒だしの素=2.4グラム(小さじ1弱)をベースに、大豆、オクラ、ホウレンソウ、さば缶、チーズなどを混ぜて、丸めてラップして冷凍庫に入れておきます(分量は2人前)。

朝の忙しい時にこれを取り出し、お湯で溶くだけで、おいしくてタンパク質をしっかり摂れるみそ汁が出来上がります。

カニカマと高タンパクヨーグルト、粉豆腐

他にも私が「貯筋」のためにおススメしているのが、カニカマと高タンパクヨーグルト、粉豆腐です。カニカマはサラダやみそ汁に入れるだけでいいという手軽さがあり、高タンパクヨーグルトは多くのスーパーで入手できます。粉豆腐とは高野豆腐を粉にしたもの。「レジスタントタンパク」と呼ばれてコレステロールを下げたり血糖値を安定させる作用を持っています。私は小麦粉を粉豆腐に置き換えたお好み焼きが大好きです。

他にも納豆、ブロッコリー、卵など、男性でも料理に使いやすい食材がたくさんあります。

筋肉は少しの工夫で蓄えられます。ぜひ「貯筋」に励んでください。

鎌田式「フレイル」チェック

  • 立ち上がるときに「よいしょ」と言う
  • ペットボトルのフタがあけにくい
  • 以前より疲れやすい
  • 前を歩く人を抜けない
  • 1年で体重が2~3キロ減った

※1つでも当てはまったら「プレフレイル」、3つ以上なら「フレイル」のリスクが高い

解説
医師、作家、諏訪中央病院名誉院長
鎌田 實
医師、作家。諏訪中央病院名誉院長。1948年6月28日、東京都生まれ。75歳。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院入職。1988年、院長。2005年から現職。日本チェルノブイリ連帯基金理事長。東京医科歯科大学臨床教授他。著書に『鎌田式長生き食事術』(アスコム刊)など。
執筆者
医療ジャーナリスト
長田 昭二
医療ジャーナリスト。日本医学ジャーナリスト協会会員。1965年、東京都生まれ。日本大学農獣医学部卒業。医療経営専門誌副編集長を経て、2000年からフリー。現在、「夕刊フジ」「文藝春秋」「週刊文春」「文春オンライン」などで医療記事を中心に執筆。著書に『あきらめない男 重度障害を負った医師・原田雷太郎』(文藝春秋刊)他。