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40年以上体形変わらない現役医師が伝授!「横隔膜呼吸」で体形キープ術

40年以上体形変わらない現役医師が伝授!「横隔膜呼吸」で体形キープ術
エイジングケア
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ジムは続かず…それでも信号待ちなどすき間時間で横隔膜呼吸


山王病院(東京都港区)呼吸器センター長の奥仲哲弥医師(65)は、テレビ番組などで医療知識を分かりやすく解説することでも知られる、呼吸器のスペシャリストです。“長く強く吐く”ことを意識した横隔膜呼吸で、20代のころと変わらぬ体形をキープしていると言います。一体、どういうことなのでしょうか。

学生時代、バスケットボールを続けていた奥仲医師は身長180センチ、体重63・5キロ。体形は40年以上変わっていないと言います。

「一番太っていたのは医師国家試験を受ける前ですが、それでもプラス1.5キロくらい」

ストイックな食事制限をしているわけではありません。週末にゴルフを楽しむことはあるものの、平日の平均歩数は3000歩弱。スポーツジムに通うこともないそうです。

「長く継続することが苦手で、ジムには9回入会して9回退会しました。その代わり、隙間時間を利用して四股を踏むなど、ストレッチは習慣にしています。もともとせっかちな性格で、トイレで本を読んだり、時間が空くと何かやりたくなるタイプ。エレベーター待ちや信号待ちのときにする横隔膜呼吸が癖になっています」

一般に体型維持というと、食事量や運動に目を向きがちですが、なぜ奥仲医師は横隔膜呼吸に着目したのでしょうか。

「学生時代にバスケットボールをやっていたのですが、長くもたないんです。走るのでも、短距離はクラスでトップなのに長距離になると最下位。なぜなんだろうと考えた末に、呼吸を意識するようになりました」

呼吸は鼻からが基本!横隔膜をしっかり動かす

その呼吸法は、2023年6月の著書『お腹からへこむ すごい「やせ呼吸」』(講談社)でも紹介しています。ポイントは横隔膜をしっかりと動かすことを意識した鼻呼吸。連動して呼吸筋と呼ばれる首から下腹部にかけて20種以上あるとされる筋肉群が刺激され、代謝アップにつながると解説します。

「呼吸は鼻からが基本で、長く吐いて、吸うときは自然と鼻から空気が入ってくるのが理想です」

奥仲医師が提唱する息を長く吐く力をつけるための呼吸法は、以下の通りです。


(1)1秒で鼻から息を吸い、口を横に薄く開いて「いの口」の形にして、そのまま口から10秒かけて息を吐く。

 


(2)吐いたところで、最後にもう1回お腹に力を入れて吐ききる。

 


(3)自然に入ってくる空気を鼻から吸う。

階段の息切れは年齢のせいだけじゃない

「少し階段を上がるだけでハアハアしたり、頬やフェイスラインが垂れてきたり、下腹がぽっこりと出るようになったり。これを『年齢のせいだ』で片付けてしまうのはもったいない。この機会に、正しく深い呼吸を試してみてください」

注意が必要なのは、安易に口で呼吸しないこと。実は現代人の多くがストレスなどによって自律神経が交感神経優位になり、呼吸に関わる筋肉の柔軟性を失い、楽に空気が吸える口呼吸をしている状態だと言います。

安易な口呼吸はダメ!代謝や免疫力がダウン

「よく『自律神経を整える』というと、副交感神経の話ばかりになります。これは、われわれが日常的に緊張して力の入った生活を送っていて交感神経の方が優位になるからです。ストレスから解放させ、副交感神経優位の状態にするには横隔膜をしっかりと動かす呼吸が一番です」

さらに仕事でのパソコン作業やスマートフォンの使い過ぎにより、姿勢も悪くなりがち。新型コロナウイルス禍によってもたらされたマスク生活の影響も、浅い口呼吸が習慣化している原因の1つだと言います。

「マスク生活で世界中の人が口呼吸になったように思います。マスクをしているとどうしても息苦しさを感じて、口で呼吸するようになるんですね。浅い口呼吸が習慣化すると、息を吐き切れずにすぐ吸いたくなり呼吸過多状態に陥いるのですが、似たような状況をマスク生活がつくっているのです」

この状態だと代謝や免疫力がダウン。それもあってか、今年に入ってインフルエンザが重症化するケースが増えているそうです。

「そもそもインフルエンザの予防接種を受けていない人が多いのも原因です。感染症予防にマスクはとてもいい習慣ですが、弊害も出ているように感じています」

退院する患者の言葉が“やりがい”

肺がんなどを専門とし、4000例を超える手術経験を持つ奥仲医師は、今年3月に大学教授の定年を迎えます。

「おかげさまで呼吸にもフォーカスが当たるようになってきたので、僕にとっても次のことを考えるいい時期だと考えています。老眼がなく、手術時の映像モニターも大きくなっているので、外科医としての引退は少し先かもしれません。他にも何か皆さんの役に立てることができればとは思っています」

患者さんの命を預かるというプレッシャーも強い医師の仕事を続けてこられたモチベーションとは何だったのでしょうか。

「外科医なので、手術場がきれいなのがうれしいですね。つまり、思った通りに手術ができて、患者さんが1日でも早く退院できるということです。僕らは勤務医なので儲けを考えません。『先生ありがとうございます。おかげさまで良くなりました』という言葉だけがやりがいです。外科医の特権ですかね」

テレビ出演では自分が選ばない服をあえて着る

もちろん、治療の末に患者さんが病院で命を落とすケースもあります。

「真夜中でも必ず病院に駆けつけて、看取るようにしてきました。がん治療の場合は、ご家族もやり切ったと思えることが大事。もう何もできることがないとしても、せめて僕が駆けつけることで、ご家族の気持ちを穏やかにできれば、という思いでした」

一方で、テレビやラジオ番組に出る機会も多くあります。マネジメントは、お笑いコンビの爆笑問題などが所属している芸能事務所、タイタンが手掛けています。

「テレビ番組に出るときにスタイリストさんが、僕なら絶対に選ばないネクタイを選ぶ。そうすると、『あのネクタイ、良かったですね』と褒められ、うれしい気持ちになるんです。自分の好きな洋服と、似合うと評価される洋服は違うんだと教わりました。同じように、毎日の生活の中で自分では選ばないようなマフラーやチーフを身に着けてみるなど、ちょっとした変化を加えて相手に気付いてもらえると、いいホルモンが出て気分も明るくなります」

「いいホルモン」が出るきっかけに

テレビ番組に出て注目されることに、抵抗はなかったのでしょうか。

「最初は悩みましたが、僕は仕事を断ったことがないんです。病院の医師としてどうなのか、という声はありました。ただ僕としては、どんな仕事でもやらずにいるより、やってから後悔した方がいいと思い、お引き受けしています」

続けて、「逆に言うと、どうしてもこれをやりたいといった自分の意思がないのかもしれませんね」と苦笑い。年齢を重ねていく上で、あせらず、ゆっくりと呼吸することを心がけていると言います。

茶目っ気こそ愛される高齢者の秘訣

「黒柳徹子さんと快楽寿命について話し合ったことがあるんです。茶目っ気こそ愛される高齢者の秘訣と説かれました。エレベーターでも自分が先に乗ろうとするのではなく、一拍止まって呼吸するようにすれば、他の人に『お先にどうぞ』と親切ができ、自然とマナーの良い人間になれます」

正しい呼吸法を続けることで、実にさまざまなメリットがありそうです。奥仲医師は、「2週間から1カ月続けると、グッと変わると思いますよ」とエールを送ってくれました。

奥仲哲弥(おくなか・てつや)

医学博士。山王病院呼吸器センター長。国際医療福祉大学医学部呼吸器外科学教授。1958年7月7日生まれ、65歳。埼玉県出身。東京医科大学卒業、同大学院修了。米国ケースウエスタンリザーブ大学外科アシスタントプロフェッサー、東京医科大学外科講師などを経て、現職。専門的な知識を分かりやすく説明することに定評があり、「Nらじ、Dr.奥仲の熱血医療健康情報」(NHKラジオ)や「サンデージャポン」(TBS系)など、多数のメディアに出演。

執筆者
「健活手帖」 編集部