「なんだか無気力で何もする気が起きない」
「食べることが好きなはずなのに、最近、食欲が湧かない」
そんなお悩みはありませんか?
そのような症状は「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」で解決できるかもしれません。この記事では、人参養栄湯がおすすめの人や、効能効果、副作用、使用する際の注意点について解説します。
人参養栄湯とは?
人参養栄湯は弱ったからだの元気を取り戻すサポートをする漢方薬です。人参を生薬にしたものをはじめとし、元気を取り戻す、冷えを改善するなど、さまざまな種類の生薬が配合されています。
具体的に配合されている生薬は以下のとおりです。
- 人参(にんじん)
- 黄耆(おうぎ)
- 当帰(とうき)
- 地黄(じおう)
- 白朮(びゃくじゅつ)
- 茯苓(ぶくりょう)
- 芍薬(しゃくやく)
- 桂皮(けいひ)
- 陳皮(ちんぴ)
- 遠志(おんじ)
- 五味子(ごみし)
- 甘草(かんぞう)
「人参」と「黄耆」には胃腸機能を高めて元気をアップする滋養強壮作用、「当帰」や「地黄」には血行を促進させる作用、「白朮」や「茯苓」には水分代謝を整える作用があります。
人参養栄湯は食欲不振や疲労倦怠、貧血などに効果的
人参養栄湯は、気血(きけつ)が不足している人の食欲不振や疲労倦怠、貧血、寝汗や手足の冷えを改善する漢方薬です。冷え体質で貧血状態であり、顔色が悪く疲労衰弱の症状が強い人、あるいは病中・病後、手術後などで虚弱になっている人に適しています。
また、上記の体質に該当する人の精神不安に用いられることもあります。人参養栄湯に配合されている「遠志」には精神を落ち着かせる作用があり、気うつや不眠症状を和らげる効果があるからです。
人参養栄湯の副作用と注意点
人参養栄湯は副作用を発症するリスクが少ない漢方薬ですが、体質によっては以下のような症状を発症するケースがあります。
- 胃の不快感
- 食欲不振
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 発疹
- 発赤
- かゆみ
これらの症状は飲み始めてから1週間以内に起きることが多いため、初めて飲む際は体調の様子をみながら服用してください。また、下記のような重い副作用が稀に起きることがあります。
- 偽アルドステロン症
- 肝機能障害
偽アルドステロン症は、生薬である甘草の過剰摂取や市販薬との併用によって起こります。発症すると、手足の脱力感やけいれん、むくみが起こります。低カリウム血症を起こした場合は急な血圧上昇を起こすこともあり危険です。市販薬や別の漢方薬と併用する際は、必ず薬剤師や登録販売者に相談してください。
肝機能障害では、黄疸や全身の倦怠感、発熱などがみられます。漢方薬の副作用による肝機能障害は「薬剤性肝障害」と呼ばれ、気づかずに長期使用すると重症化する場合があるため、注意が必要です。 副作用は体質に合わない漢方薬の使用によりリスクが高まるため、必ず医師や薬剤師、登録販売者に相談してから使用しましょう。
さらに、人参養栄湯を服用する際に注意しなければならないのは、吐き気や嘔吐、下痢、食欲不振などさまざまな胃腸機能低下がみられる場合の使用です。人参養栄湯には地黄が配合されているため、胃腸が弱りすぎた状態で使用すると症状が悪化する恐れがあります。
漢方薬は専門家に処方してもらうのがベスト
漢方薬は、個々の体質や体調、体力などを目安に症状の改善を目指すものなので、「証」や体質に合ったものを使用する必要があります。
「証」はからだの状態をあらわすものです。たとえば、熱証(疾患により、からだに炎症や熱を帯びている)、寒証(疾患により、からだに冷えが起きている)があったり、虚証(抵抗力が弱い)、中間証(抵抗力が中間)、実証(抵抗力が強い)という病気への抵抗力をあらわしたりします。
これらの状態に合わない漢方薬を使用すると、冷えや熱のこもりを悪化させ、症状がより強くあらわれたり、副作用が起きたりします。漢方薬を正しく使用するためには、まずご自身の体質や証を見極めることが必要です。
しかし、一般の人が見極めるのは難しいため、プロにみてもらうのがベストです。医療機関でみてもらうか、最近では「あんしん漢方」というオンラインサービスで自分の体質を知り漢方を使用する方法もあります。
「あんしん漢方」はこれまでの処方事例をAIに記憶させ、一人ひとりに合った漢方薬を導き出すサービスです。「漢方薬で今あるつらさを少しでも楽にしたい」と考えている人は、試してみてはいかがでしょうか。
体質を見極めたうえで人参養栄湯を使用しよう
人参養栄湯は、著しい疲労感を緩和する効果が期待できる漢方薬です。ただ、疲労を改善する漢方薬には「補中益気湯(ほっちゅうえっきとう)」や「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」もあり、体質によって使い分けるのが基本です。安易に使用するのはおすすめしません。
からだの疲労感に悩んでいる人は、まずはプロに相談し、体質を理解してから漢方薬を使用しましょう。