アンチエイジング 美容医療

アンチエイジングと美容のために太陽を味方につけましょう

アンチエイジングと美容のために太陽を味方につけましょう
エイジングケア
文字サイズ

アンチエイジングをしたい人は太陽から離れないで

私が一番好きなジブリの映画は「天空の城ラピュタ」です。多くの名言の中に、シータが「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、(ヒトは)土から離れては生きられないのよ」と語っています。私がこのフレーズを引用してお伝えするとしたら、「アンチエイジングをしたいヒトは太陽から離れて生きられない」となります。

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」で構成され、両者はシーソーが上下するように、相反する活性で体のバランスを保っています。自律神経が乱れると、不眠、動悸、発汗、消化器症状など原因のはっきりしない不調に悩まされます。

太陽に左右される体内時計は自律神経に深く関わる

自律神経に深く関わるのが体内時計です。人間は太古の昔から太陽とともに活動してきました。太陽が昇ると興奮ホルモン(アドレナリンなど)が分泌され、太陽が沈むと徐々にリラックス状態になり睡眠ホルモン(メラトニン)が分泌されて眠ります。

このような仕組みを「体内時計」と呼びますが、センサーは眼球の近くにあるので目から入ってくる光の強さによってスイッチが切り替わるのです。例えば、長距離フライトで時差ぼけが生じた際、強い光を目に入れると症状が軽減されることがありますが、これは光によって体内時計がリセットされたためだと考えられます。

アンチエイジングと太陽に関する3つのポイント

さてアンチエイジングと太陽について、3つのポイントです。

①太陽は自律神経に関わっている

先述のように、人間の行動は太陽に支配されているといっても過言ではありません。夜ふかしが続き、休みの日に昼まで寝る生活を繰り返すと、体内時計の正常なリズムが狂ってきます。

またパソコン画面やスマートフォンからの青色光により、体が昼間と勘違いして睡眠障害の原因となります。せめて、ベッドに入る2時間前からは電子機器を使うのを控えましょう。

②太陽は活性型ビタミンDを作ってくれる

東京慈恵会医科大学による大規模調査では、日本人の98%が「ビタミンD不足」とされます。

ビタミンDは丈夫な骨や筋肉を作る材料だけでなく、摂取が多い日本人は脳梗塞と肺炎の死亡リスクが低いと報告されています。また皮膚が日光を浴びることで、皮膚内のプロビタミンD3(前駆体)が体内でビタミンDに変わり、肝臓に蓄えられることも知られています。1日に1回は日光を浴びたいですね。

③太陽(紫外線)により生じた活性酸素はシミ・シワ・たるみの原因になる

太陽の光に含まれる紫外線は活性酸素を産み、肌の老化を加速させることもあります。私がたびたびお伝えしている紫外線ケアは、アンチエイジングには欠かせません。特に中年以降の人には日焼け対策は必須だと思っています。

日常的に使用する日焼け止めならば「SPF20~30、PA++」「紫外線吸収剤不使用」「ノンケミカル」「せっけんで落とせる」と表示されているものがおすすめです。

アンチエイジングにとって、太陽が味方の時もあれば、敵の時もあります。「太陽とともに生きる」とは、太陽と上手に付き合って、健康的な美しさを目指すということなのです。

太陽とアンチエイジングのポイント

  • 体内時計(自律神経のバランス)は太陽に支配されている
  • 太陽は健康に重要なビタミンDを生成してくれる
  • 紫外線は肌老化の原因となる
解説・執筆者
形成外科専門医
西嶌 暁生
医学博士、形成外科専門医、MBA。1984年7月7日生まれ、富山県出身。形成外科・美容医療の専門医として、10年以上、臨床と研究に従事。2019年から恵比寿形成外科・美容クリニック副院長。著書「だから夫は35歳で嫌われる~メンズスキンケアのススメ」(光文社)が発売中。