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イライラに負けない更年期女性のセルフケア方法

イライラに負けない更年期女性のセルフケア方法
エイジングケア
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春子さん(50歳女性・専業主婦)は最近些細なことでもイライラしやすくなっています。

家族のちょっとした言動にイライラしたり、以前は気にならなかったことにも怒りが込み上げたりして家族に当たり散らしてしまうこともあります。

そんな自分に落ち込み、自己嫌悪を繰り返す日々を過ごしています。

家族に当たり散らすのをやめたい、イライラしたりカッとしたりするのを直したいと思い、できる対策はしていますが、なかなか解消しません。イライラを解消する何かよい方法はないか悩んでいます。

本記事ではそんな春子さんにおすすめの「セルフケア方法」をご紹介します。

イライラ解消にはツボ押しが効果的!?


ツボとは東洋医学における「気」の概念に基づくものとされます。気とは生命エネルギーそのもの。全身に張り巡らされている「経絡(けいらく)」を通って各臓器や筋肉などに働きかけます。

経絡のなかでも、とくに肝経と心経はストレスの症状が出やすい経絡と考えられています。


東洋医学における肝の役割は主に以下の3つです。

  1. 血液の貯蔵や、気や血の循環を調節する
  2. 自律神経や精神のバランスを保つ
  3. 解毒、骨格筋や目の調整をする

また、心の主な役割は以下の3つとされています。

  1. 血液循環を司る
  2. 精神活動を整える
  3. 睡眠や覚醒、体温や発汗の調整をする


東洋医学では心とからだを一体として捉え、感情と臓器は互いに影響し合っているものと考えるのです。

肝が弱ると、イライラする・頭に血がのぼりやすい・目が充血する・頭痛がするなどの症状があらわれます。

心が弱ると、不眠や精神的に落ち着かないなどの、うつ症状があらわれます。


経絡には「経穴(けいけつ)」と呼ばれる気の出入り口があり、これがいわゆるツボです。ツボを刺激すると経絡を流れる気が整い、気の流れがスムーズになるため、経絡とつながる臓器が活性化されて体調が整えられます。

また、ツボを刺激すると脊髄を通して脳へ指令が届き、脳から分泌されるホルモンなどが症状のある部位に働きかけるため、効果を発揮すると考えられています。

ストレス・イライラにおすすめツボ押し2選


ここではストレス・イライラ解消に効果があるツボを2つご紹介します。

印堂(いんどう)

ストレスや緊張を和らげる効果があります。また、鼻づまりや花粉症、頭痛、めまい、目の疲れ、不眠症の改善にも効果があります。さらに、眉間にできたシワの改善やくすみ、クマ、肌のたるみ防止などの美容効果も得られます。

ツボの位置

眉間の中央部分にあります。ほんのわずかのくぼみがポイントです。

ツボの押し方

人差し指か中指の腹で痛気持ちいい程度の力で押します。5~10秒かけてゆっくり押して、同様にゆっくり離します。5~6回行いましょう。

檀中(だんちゅう)

心を落ち着かせて、イライラや胸の痛み、息苦しさ、喉の痛み、自律神経の調節などにも効果があります。

ツボの位置

左右の乳首を結んだ中央で、胸の真ん中にあります。

ツボの押し方

ゆっくりと深呼吸しながら軽く押すことでさらに鎮静作用が高まります。軽くトントンと叩き刺激するだけでも気持ちがリセットされます。

漢方薬の併用も


更年期のイライラには、漢方薬で内側からアプローチするのもおすすめです。漢方薬は、自然の生薬を組み合わせて作られており、心とからだ全体の乱れたバランスを回復させる働きを持ちます。そのため、イライラだけでなく他のさまざまな更年期症状にも総合的に効果を示すことができます。

更年期のイライラには以下のような働きをもつ漢方薬を選びます。

  • 自律神経のバランスを整えて緊張した神経を落ち着かせる
  • 過剰な興奮を鎮める
  • 抗ストレス作用がある

イライラ解消におすすめの漢方薬

加味逍遙散(かみしょうようさん)

女性ホルモンの乱れを整えることで、気分の落ち込みやイライラといった更年期の精神的症状に働きかけます。

また、からだにこもった熱を冷ますことでホットフラッシュなどののぼせや、冷えにも使われます。

柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

からだにこもった熱を冷まし、ストレスを和らげて自律神経を整えることで、不安、緊張によるストレスなどの神経症状の不調や更年期障害の精神症状に使われます。

漢方薬は、自分に合うものを選ぶことが大切です。合わない場合は十分な効果が得られず、副作用が生じる恐れもあります。

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日々のセルフケアで毎日を健やかに

イライラ以外のさまざまな症状にも効果を発揮するツボ押しや漢方薬。これらをセルフケアに取り入れて、心もからだも健やかに整えましょう。

解説・執筆者
あんしん漢方薬剤師
碇 純子
薬剤師。漢方薬生薬認定薬剤師 。理学博士、薬学修士。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科修了。漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。