不眠の3つのパターン
日中働いて疲れているはずなのに、ふとんに入ると眠れない…。日本人は世界的にも睡眠時間が短いことで知られています。30~50代の男性、40~50代の女性の4割以上が1日6時間未満の睡眠時間です(厚生労働省2019年「国民健康・栄養調査」)。
睡眠時間が短い上に、寝つきが悪い(入眠障害)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、夜中に目覚めてそのまま眠れない(早朝覚醒)といった不眠症状に悩まされている人が少なくありません。国内の成人の3~4割は不眠症状を有しています。
ストレスで眠れない人も多い
「会社員の方で多いのは、仕事のストレスで眠れないパターンです。ふとんに入ると、昼間の出来事などが思い出されて眠れない。寝不足によって仕事でミスをすれば、また眠れない。そういった不眠が重なって心身に悪影響を及ぼすのです」
こう話すのは、千葉大学墨田漢方研究所の尾崎さゆり鍼灸師。鍼灸治療で、不眠で悩む人も多く救っています。
嫌な思い出で眠れないと鬱の引き金に
「日中の嫌な出来事を思い出して眠れない状態が続くと、うつ病の引き金になります。寝不足は生活習慣病も悪化させるので症状が続く場合は、早めに対処しましょう」
不眠の原因はストレス以外にも、寝室の環境や光、生活リズムの乱れなどいろいろあります。なるべくストレス発散を心がけ、寝室を心地よく整えるなどしても、「今日はちょっと眠れないなぁ~」ということは起こりえます。そんなときに試したいのが「寝付きやすいツボ」押しです。
寝付きやすいツボがある
「ひとつは、耳たぶの後ろにある『安眠(あんみん)』のツボです。眠れないときに親指で押してみてください。ツボ刺激で、眠るためのスイッチが入るように、リラックスして寝付きやすくなります」
もうひとつ、尾崎氏お勧めのツボは手首の「神門(しんもん)」。イライラするなど興奮した自律神経を鎮め、眠気にいざなう作用があります。
「『神門』は、精神的なストレスを和らげる働きがあります。仕事中に強いストレスを感じたときにも、親指で押してみてください。ツボを上手に活用して、快眠やストレス発散に役立ててください」
不眠解消のツボ
安眠(あんみん)
- 左右の耳たぶの後ろ、骨の出っ張りを探しましょう
- (1)の下のくぼみから1~1.5センチほど顔側のところが安眠のツボです
- 親指でツボを押さえ優しく力を加え、手のひら全体で頭を包み込むようにしましょう
神門(しんもん)
- 手のひらの真下、手首の横シワの小指側を触りましょう
- 小指側のシワの真下、少しくぼんだところが神門のツボです(やさしく触れると動脈の拍動を感じられます)
- 親指で軽く圧迫する感じで刺激しましょう