目(眼科) 花粉症 花粉症とドライアイ対策

花粉症とドライアイ対策(3)~併発には2つの目薬使用が大切

花粉症とドライアイ対策(3)~併発には2つの目薬使用が大切
予防・健康
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花粉症とドライアイ、治療法は異なる

国内の花粉症患者数は約3000万人。一方、ドライアイの患者数は約2200万人にのぼる。この2つの病気を併発する人が、花粉症の目の症状を訴える人の約半数に上ることが、順天堂大学医学部眼科学教室の猪俣武範准教授らの研究で昨年明らかにされた。

「2つの病気は、目のかゆみや充血など、症状としては似ていますが、原因が違うため治療法が異なります。ご自身の目の症状が併発しているのか、併発していないのかなど、眼科の診断を受けたうえで、正しく対処することが大切です」

似た症状、見極め難しく

花粉症は、スギ花粉などが目の粘膜に付着してアレルギー反応を起こし、かゆみや痛み、目がゴロゴロするなど違和感などの症状を引き起こす。ドライアイは、涙の量や質の低下に関係し、かすみ目やゴロゴロするなどの違和感、痛み、充血などの症状が生じる。

両者は似たような症状があり、また、花粉症シーズンは年度末を控え、パソコンの長時間使用でドライアイを引き起こしやすい環境にあるため、症状の見極めは難しい。


「ドライアイは大きく分けて2つのタイプがあるのですが、どのタイプが花粉症によるアレルギー性結膜炎を悪化させやすいかは、今後の研究課題です」

まばたき回数の減少がドライアイ引き起こす

ドライアイは、パソコンやスマートフォンなどの画面を凝視することで、まばたきが減ることに関係している。まばたき回数の減少で、目の表面を保護する涙液層が減ることがよくない。

涙液層は、表面の油層と液層(糖タンパクのムチンを含む)の2層で成り立っている。まばたきがなくなると、涙液層の油層が壊れ、液層が蒸発して減少。目の表面が汚れたようになり、かすみ目や視力の低下、ゴミや花粉などからの防御の仕組みも崩れ、炎症やかゆみなどの症状を引き起こしやすくなるのだ。

ドライアイ2つのタイプ

ドライアイの2つのタイプというのは、(1)涙の量が少ないタイプ、(2)ムチンといった涙の成分が少ないなど質的な異常で涙がとどまらないタイプ—である。

「空気が乾燥する時期は、ドライアイの症状が悪化しやすくなります。花粉症を併存している人は、ドライアイが悪くなると花粉症の症状も悪化し、逆もしかりです」

ドライアイ+花粉症の2つの目薬を使う

パソコンやスマートフォンの長時間使用で目の調子が悪いと、眼精疲労改善の市販薬を使用する人もいる。だが、花粉症によるアレルギー性結膜炎は、そうした市販薬では効果が得られないことがある。ドライアイ+花粉症の2つの目薬を使うことが大切なのだ。

「ドライアイの目薬は日常的に使用しますが、花粉症の目薬は、スギ花粉飛散の2週間前程度から点眼すると予防にも役立ちます。2つの病気が目に同時に起こることがあることを覚えておきましょう」

ドライアイと目の花粉症の診断基準

ドライアイ

BUT(涙液層破壊時間)検査5秒以下、かつ自覚症状(眼不快感または視機能異常)を有する。((2016(年度版「ドライアイの定義・診断基準)

花粉症による季節性アレルギー性結膜炎

炎症やかゆみ、眼がゴロゴロするなどの不快な自覚症状。また、結膜と全身のアレルギー反応を証明することを目標として、涙液中総IgE抗体測定などの検査でわかることも。

解説
順天堂大学医学部眼科学教室准教授
猪俣 武範
順天堂大学医学部眼科学教室准教授。医学博士。2006年、順天堂大学医学部医学科卒。2012年、ハーバード大学医学部スケペンス眼研究所へ留学。留学中にボストン大学経営学部でMBA(経営学修士)取得。2019年から現職。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。