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健康寿命伸ばす心得(3)~内臓脂肪は「体の毒」であることを知っておこう

健康寿命伸ばす心得(3)~内臓脂肪は「体の毒」であることを知っておこう
予防・健康
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余分なカロリーは内臓脂肪としてためこまれる

最近お腹が、とくに下腹部が出てきたということは、誰もが思い当たるのではないでしょうか。

ずっと机に向い座って仕事を続けている場合では、慢性的な運動不足、ストレスからの食べ過ぎがおき、摂取したカロリーを全部消費できなくなります。そして、余剰なカロリーは身体に脂肪として蓄積されることになります。

ため込む脂肪は皮下脂肪ではなく、胃や腸などの回りにたまる内臓脂肪となります。

炭水化物はほとんど貯蔵されない

われわれの体には炭水化物はほとんど貯蔵されることはありません。肝臓に100グラム、筋肉に300グラム程度蓄えられているだけなので、常に体外から摂取する必要があります。

特に脳には炭水化物の貯蔵はたった2グラムです。脳は糖質を原料にして活発に動いているので、糖が大好きと言っても過言ではありません。われわれの甘いもの好きは、脳の好物ということもあるのです。もっとも、脳の好物は砂糖だけではありませんが。

座る時間が長いと腸管や消化管に脂肪がたまる

ところで、食べ過ぎた糖分はそのほとんどを脂肪として蓄えることになります。急に太る場合、体にたまるのは、炭水化物でもなくタンパク質でもなく脂肪なのです。脂肪のもっとも付きやすい場所は、腸管の周りになります。

消化管の周りには食べ物を消化、吸収した大量の血液が常に循環しています。座っている時間が長いと血液は滞留しやすい状態になっていて、消化管周囲の内臓脂肪細胞に吸収されやすい状態になっているのです。

また手足とは違って、ずっと座っていると運動不足のためお腹の消化管周囲の静脈血は停滞しやすくなります。この消化管周りについた脂肪を内臓脂肪と言います。

絶食でお腹がへこまなければ皮下脂肪

内臓脂肪は付きやすいのですが、減りやすいという特徴も持っています。数日間の絶食でもお腹がへこまない場合には、それは内臓脂肪でなくお腹についた皮下脂肪ということになります。

脂肪組織は、以前は脂肪を蓄えるだけの細胞だと思われていたのですが、脂肪細胞はたくさんの内分泌ホルモンやサイトカインといった体の免疫などを調節するホルモンを分泌していることがわかってきました。

中でもアディポネクチンは抗動脈硬化作用があり、反対にTNF—α、PAI—1、アンギオテンシノーゲン、レジスチンなどは血管の炎症、収縮を亢進(こうしん)し、血圧を上げ、血液を固まりやすくし、インスリンの働きを邪魔します。

たまりすぎた内臓脂肪は動脈硬化性に変化

内臓にある脂肪細胞に脂質がたまりすぎた場合、良い作用を持つアディポネクチンが低下し、悪い作用を持つホルモン、サイトカインのみが作られるようになります。

脂肪をたくさん取り込んだ脂肪細胞は、脂質の塊が細胞内小器官を圧迫して機能不全を起こし、その結果、次の段階には全身に動脈硬化性の変化を生じさせることになります。

内臓脂肪の過多は間違いなく、あなたの体にとって毒なのです。このことを踏まえて、内臓脂肪を減らす努力をしてください。

解説・執筆者
脳外科医
氏家 弘
脳外科医。1978年、岩手医科大学卒業、東京女子医大で研修を積んだ後、2009~2017年、東京労災病院、脳神経外科部長。その間、脳神経外科手術と医工連携による医療機器の開発に没頭。2019年から氏家脳神経外科内科クリニック(東京・紀尾井町)院長を務め、鎌ケ谷総合病院でも手術を執刀する。暇を見つけては、好きなワインを傾けながら進化発生生物学に夢中になっている。