「沈黙の臓器」肝臓をいたわる
昔から極めて大事なことを「肝腎要」と言うように、肝臓は人間の健康の源だ。一方で、肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、異変が起きても簡単には症状を示すことなく、気付いたときには手遅れになっていることが少なくない。そんな肝臓をいたわり、一生お酒が楽しめるようにするために気になる1冊がある。
『死ぬまでお酒を飲みたい人のための1分間肝臓マッサージ』(ワニ・プラス刊、1540円)で、著者は、メディアでも活躍する鍼灸・柔道整復師の高林孝光氏=写真。代謝・内分泌内科と抗加齢医学が専門で、ソムリエなどの資格を持つ青木晃医師が監修している。
肝臓の調子を取り戻せば不調改善期待
肝臓の状態が悪化することで起き得る現象や症状には、抜け毛から老化までさまざまある(別項参照)。もちろんそれ以外の原因も考えられるが、肝臓の調子を戻すことで改善できる可能性があるという。
そこで本書が勧めるのが肝臓マッサージだ。肝臓に適度な刺激を与えることで活性化させ、良質な温かい血液を作り出し、肝臓自体も元気にする—というもの。
肝臓マッサージの方法
肝臓マッサージは次の3つで構成されている。
【ステップ1】
右の肋骨の際に左右いずれかの手のひらを当てて「心地よい程度の強さ」で20秒間、さする。肝臓に血液を集めるのが目的。
【ステップ2】
同じく右の肋骨の際を左右どちらかの手の人さし指から小指までに4本の指でローリングするように30秒間、さする。これによって肝臓を温め、血液の温度を高める。
【ステップ3】
両手の指を組んで、右の肋骨の下半分を挟み込む。組んだ手に力を入れたり抜いたりして、10秒間テンポよく押す。これによって温めた血液を全身の臓器に送り届ける。
中年太り解消のカギは筋トレよりも肝臓
詳しくは本書をお読みいただきたいが、わずか1分間のマッサージで疲れた肝臓が元気を取り戻せるなら試す価値はあるだろう。
「成人の基礎代謝の内訳が筋肉約18%、肝臓約27%と体内で一番エネルギーを消費しているのが肝臓であり、中年太りの解消には筋トレをするより肝臓を元気にしたほうが効果的だ—ということを知った時には驚きました」と、編集を担当したワニ・プラス編集部の宮崎洋一氏。
そして実体験をこう続ける。
「以前、受けた健康診断で、γ—GTPが400を超えていて、禁酒を余儀なくされたことがありました。『1分間肝臓マッサージ』を実践し、酒量をややセーブしたことで、いまでは“正常値よりちょい高め”くらいに収まっているんです」
「肝臓の疲れ」から起き得る症状
- 薄毛、抜け毛、白髪
- 肥満
- 疲労
- 物忘れ
- 頻尿
- 冷え性
- 視力低下
- 耳鳴り、めまい
- 加齢に伴う身長の低下
- 見た目の老化
- 乾燥肌、脂性、肌荒れ、ニキビ
- シミ、クマ
- 性欲減退、ED
※本書から