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肌バリア機能守る「アクティブ保湿」3原則

肌バリア機能守る「アクティブ保湿」3原則
エイジングケア
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冬場の乾燥を乗り切る「アクティブ保湿」

冬場の乾燥した空気では、肌の水分も蒸発しやすく、バリア機能が低下して、肌トラブルにつながりやすくなります。もともとアトピー素因などを生まれながらに持っていてバリア機能が弱い人は、大人のアトピー性皮膚炎など、病気につながるので注意が必要です。予防では、一般的に「保湿」が大切だといわれます。

「私がお勧めしているのは、『アクティブ保湿』です。(1)環境を整える(2)皮膚の表面を整える(3)皮膚の内部を整える。3つをそろえることで良い保湿を保ち、皮膚のバリア機能を守ります」

遺伝子の異常で皮膚のバリア機能低下

こう説明するのは、ひふのクリニック人形町(東京都中央区)の上出良一院長。大学教授時代に、アトピー性皮膚炎が、フィラグリン遺伝子の異常によって皮膚のバリア機能が低下することを突き止めるなど、長年、診断・治療・研究を数多く手掛けています。

「アトピー性皮膚炎は、バリア機能が弱くなり、アレルギー反応を起こす抗原に触れることが、発症の原因となります。皮膚のバリア機能は、とても重要なのです。それを維持するために肌の正しい保湿が大切です」

バリア壊れて水分が蒸発

肌は、汗と皮脂からなる皮脂膜で表面を覆い、その下の角質層では、アミノ酸などの天然成分が水分を保持しています。また、角質と角質の間をセラミドという成分が満たされていることで、肌の奥の水分の蒸発を防いでいます。

「バリア機能が壊れると、角質層の間を通って蒸発する水分量が多くなり、乾燥肌になるのです。思春期までは皮脂が少ないお子さんや、新陳代謝が低下して皮脂の分泌量も減る高齢者は、要注意です」

スチーム(加熱)式加湿器がオススメ

上出院長お勧めのアクティブケアのうち、(1)の「環境を整える」ためには、湿度計で室内の湿度を測定することが第一歩です。湿度が40%を切ると乾燥肌がひどくなりやすいので、加湿器を用いるとよいそうです。

「加湿器にもいろいろなタイプがありますが、私がお勧めしているのはスチーム式(加熱式)です。元来、やかんでお湯を沸かした蒸気がよく、それと同じ作用が期待できるスチーム式がよいと思います」

冬場は、手洗いや入浴時に熱いお湯に触れる機会が増えます。熱いお湯は皮脂を流しやすくバリア機能の低下につながります。アクティブ保湿(2)の「皮膚の表面を整える」ために、保湿剤の正しい活用法を覚えましょう。

“補湿”機能の高い「ヒューメクタント」

「水溶性の吸湿性の高い成分に『ヒューメクタント』があります。これは、ヘパリン類似物質、乳酸やグリセリンなどのことで、肌の表面の水分を補充する“補湿”に役立ちます。さまざまな成分の製品がありますので、ご自身に合ったものを選びましょう」

乾燥肌でバリア機能が低下すると、表皮の下にも炎症が起こりやすくなります。(3)の「皮膚の内部を整える」ために、治療薬をうまく使いましょう。炎症を抑えることができます。

「自然任せに放置するのではなく、アクティブ保湿を心がけ、ご自身で肌のバリア機能を積極的に守りましょう」

自分は大丈夫と思っていても、乾燥肌は忍び寄ってきます。女性なら化粧水などをぬった顔はしっとりしているのに、手や脚のすねはカサカサ…。それは肌バリア機能の黄色信号が点滅している証しです。早めに対応しましょう。

解説
ひふのクリニック人形町院長。医学博士
上出 良一
ひふのクリニック人形町院長。医学博士。1973年、東京慈恵会医科大学卒。米国で2年間光線過敏症の研究に従事。東京慈恵会医科大学皮膚科学講座教授などを経て2014年から現職。診断・治療・研究のほか、YouTubeや月1回アトピーカフェを開催するなど、正しい情報発信にも力を注いでいる。
執筆者
医療ジャーナリスト
安達 純子
医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。東京都生まれ。大手企業からフリーランスの記者に転身。人体の仕組みや病気は未だに解明されていないことが多く、医療や最先端研究などについて長年、取材・執筆活動を行っている。科学的根拠に基づく研究成果の取材をもとに、エイジングケアや健康寿命延伸に関する記事も数多く手掛けている。