ラーメンのスープまで飲み干すと…
寒い日が続くと、逆に汗がにじむようなアツアツのラーメンをスープまで味わいたい人もいるでしょう。けれど、1食に塩分が5~6グラムも含まれています。高血圧と診断されている場合はもとより、健康診断で血圧が高めといわれた人は、医師から「控えるように」指導されます。
今年4月施行の21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21(第3次)」では、減塩目標値が1日7グラム。日本高血圧学会は1日6グラム未満を推奨し、世界保健機関(WHO)は1日5グラム未満とさらに厳しくなります。おいしいラーメンのスープまで飲み干したら、あっという間に1日の摂取量をオーバーしてしまいます。
たまにはおいしいものを食べる、が減塩続ける秘訣
「世界的には生まれたときから1日3グラム程度の食塩摂取量で過ごしている民族もいます。日本人はそうではありません。特に高塩分食を習慣としていた人が、減塩するのは大変なことだと思います」
こう話すのは、東邦大学医療センター大橋病院腎臓内科の常喜信彦教授。慢性腎臓病や腎不全の患者を数多く診る一方、その原因となる高血圧の治療も行っています。
「一生懸命に減塩に取り組んでも、なかなか継続できない患者さんはいます。そうした方には、『週に1回、塩分制限を休む日を設けてもいいですよ』とお話をしています。たまにはおいしいものを食べて、また減塩を続ける意識を保つことが大切です。ベストの状態が短いより、ベターの状態を長く、の方がいいでしょう」
減塩のストレスは逆効果
減塩食を意識し始めたばかりの頃は大変です。朝食の目玉焼きにしょうゆをかけたくても我慢。昼の外食では、定食の焼き魚にもしょうゆはかけず、漬物やみそ汁は残す。サラダのドレッシングは薄味で物足りない—このように我慢や物足りなさを毎食ごとに感じてしまいがちです。
やがて、それがストレスとなり、「もう止めた!」と思う気持ちを抑えるには、1週間に1回のご褒美が役立つのです。
日常生活の“緊張と緩和”で減塩習慣を継続
「とはいえ、減塩しなければいけない方に、塩分たっぷりのラーメンの外食はお勧めしません。ご友人との一杯、和食や洋食を適量で、楽しく味わってください」
週末の夜に羽目を外したら、翌朝からまた減塩に取り組む。次の楽しみまで頑張り、日常生活の“緊張と緩和”で減塩習慣を継続することが、結果的に健康に役立つのです。
「今日は減塩を守れなかった—ということを頭の隅に置いて、その日以外は守りましょう。減塩だけでなく、暴飲暴食も控えたい。運動習慣も大切です。羽目を外したら、翌日は、健康について考えてください」と常喜教授はアドバイスします。ガチガチではない継続が減塩を成功に導くのです。
すぐできる減塩のコツ
- 漬物は控える
- 麺類の汁は残す
- 新鮮な食材(食材の持ち味で薄味の調理)
- 具だくさんみそ汁(同じ味付けで減塩できる)
- むやみに調味料を使わない
- 低ナトリウムの調味料をつかう(酢・ケチャップ・マヨネーズ・ドレッシングを上手に利用)
- 香辛料、香味野菜や果物の酸味を利用(コショウ・七味・ショウガ・かんきつ類の組み合わせ)
- 外食や加工食品を控える
※厚労省「e—ヘルスネット」から