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胃痛や吐き気を落ち着かせたい「柴胡桂枝湯」

胃痛や吐き気を落ち着かせたい「柴胡桂枝湯」
エイジングケア
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「胃痛や吐き気をなんとかしたい」と悩んでいませんか?

胃痛や吐き気を伴う症状には、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)がよく用いられます。ただし、体質に合わず使用してしまうと、副作用により胃腸の調子がさらに悪化する恐れがあるため、自分の体質と漢方薬が合っているのかを見極めなければなりません。

ここでは、柴胡桂枝湯はどのような人に向いている漢方薬なのかを詳しく解説します。

柴胡桂枝湯とは?

柴胡桂枝湯は、体力が中等もしくはやや虚弱な人に向いた漢方薬です。ここでいう体力とは、症状への対抗力と考えていただいてかまいません。

柴胡桂枝湯には解熱作用や鎮痛作用、消炎作用が期待できる生薬がたくさん含まれており、腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・吐き気などがある胃腸炎、風邪の中期から後期の症状に効果的です。

含まれている生薬は以下のとおりです。

生薬一覧

サイコ

主要薬効:(1)中枢抑制作用(2)抗消化性潰瘍作用(3)肝障害改善作用(4)抗炎症作用(5)抗腫瘍作用

主要薬理:解熱、健胃、鎮痛作用があり、免疫力を高め、胸脇部の張った感じや不快感(胸脇苦満)、微熱や炎症を取り除く。

ハンゲ

主要薬効:鎮咳、去痰、鎮吐作用があり、胃内の水分停滞が原因と思われる諸症状に用いる。

主要薬理:鎮吐作用(2)抗消化性潰瘍作用(3)免疫賦活作用(4)抗アレルギー作用(5)抗ウイルス作用

オウゴン

主要薬効:(1)体温調節作用(2)血圧降下作用(3)利胆作用抗炎症作用(5)抗アレルギー作用(6)抗腫瘍作用

主要薬理:消炎、解熱作用があり、肝臓や胃の機能を改善する。

カンゾウ

主要薬効:(1)鎮静、鎮痙作用(2)抗消化性潰瘍作用(3)肝障害改善作用(4)抗炎症作用
(5)ステロイドホルモン様作用(6)血小板凝集抑制作用

主要薬理:緩和、緩解鎮痙、去痰作用があり、矯味薬としても用いる。急迫症状を緩め、痛みや筋肉の緊張を取り除き、咽の炎症にも用いる。

ケイヒ

主要薬効:(1)発汗解熱作用(2)鎮静・鎮痙作用(3)抗血栓作用(4)抗潰瘍作用(5)抗炎症抗アレルギー作用

主要薬理:順気、法寒、健胃、駆風、解熱、鎮痛、去痰作用があり、悪寒悪風や関節の痛み、血行障害、のぼせなどに用いられる。

シャクヤク


主要薬効:(1)鎮静・鎮痙・鎮痛作用(2)抗炎症作用(3)抗アレルギー作用(4)免疫賦活作用(5)筋弛緩作用

主要薬理:収斂、緩和、鎮痙作用があり、血液の欝滞や筋肉の痙攣による痛みを取り除く。

タイソウ

主要薬効:(1)抗アレルギー作用(2)抗消化性潰瘍作用(3)抗ストレス作用

主要薬理:滋養強壮作用があり、また筋肉や身体の緊張を緩める。

ニンジン

主要薬効:(1)中枢興奮作用(2)抗ストレス作用(3)抗疲労作用(4)血圧降下作用(5)血糖降下作用(6)血液凝固抑制作用(7)抗胃潰瘍作用(8)免疫賦活作用(9)抗腫瘍作用

主要薬理:健胃、強壮、興奮作用があり、免疫力や新陳代謝を高め、虚弱による食欲不振、消化不良、下痢、慢性疲労などに用いる。

ショウキョウ


主要薬理:(1)中枢抑制作用(2)解熱・鎮痛作用(3)抗痙攣作用(4)鎮咳作用(5)抗消化性潰瘍作用


主要薬効:芳香性辛味健胃薬として健胃、鎮吐作用があり、消化力を高め、また多くの方剤に少量含み、薬物相互の働きを助ける薬味的な作用がある。

柴胡桂枝湯は吐き気や胃の痛みを和らげる

柴胡桂枝湯は、風邪の中期から後期の、風邪を引いてから数日経過しても治りきらずに頭痛や微熱、吐き気がある人、腹痛があり食欲がなく、胸がつかえるような胃腸炎の症状がある人に用いられる漢方薬です。

また、さまざまな内臓の痛みにも効果が期待できることから、胃・十二指腸潰瘍や慢性すい炎、胆石・胆のう炎などで生じる痛みにも柴胡桂枝湯が用いられることがあります。

柴胡桂枝湯の副作用と注意点

柴胡桂枝湯は、配合されているカンゾウの副作用や過剰摂取により、むくみや血圧上昇などが起きる場合があります。

他にも、次のような副作用を起こす可能性があるため、少しでも異変を感じたら速やかに服用を中止し、漢方薬を持参して医師に相談してください。

副作用

  • 皮膚症状(発疹・発赤、かゆみ)
  • その他の症状(頻尿、排尿痛、血尿、残尿感)

重篤な副作用

  • 間質性肺炎:階段を上ったり少し無理をしたりすると息切れがする、息苦しくなる。から咳、発熱などが現れる。
  • 偽アルドステロン症・ミオパチー:四肢の脱力感やつっぱり感、しびれ、だるさ、筋肉痛が現れる。徐々に強くなるのが特徴。
  • 肝機能障害:黄疸、発熱、発疹、食欲不振、全身の倦怠感などが現れる。


重篤な副作用である偽アルドステロン症・ミオパチーは、カンゾウの過剰摂取が原因ですので、服用量や別の漢方薬の併用などに気をつけましょう。また、間質性肺炎や肝機能障害に関しては、発症するリスクが非常に低く稀な症状なので、過度に心配する必要はないでしょう。

注意点

柴胡桂枝湯はどなたにも合う漢方薬ではないため、下記に当てはまる人は必ず服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。

  • 医師の治療を受けている人
  • 妊婦または妊娠していると思われる人
  • 高齢者
  • 過去に薬などにより発疹・発赤、かゆみなどを発症した経験がある人
  • むくみがある人
  • 高血圧、心臓病、腎臓病のいずれかの診断が下りた人

また、1カ月程度(風邪の中期から後期の症状は1週間ぐらい)服用しても症状の改善がみられない場合は、体質が合っていない可能性があるため、一度服用を中止して医師や薬剤師、登録販売者に相談する必要があります。

長期にかけて服用する人も、医師や薬剤師、登録販売者への相談が必要です。

漢方は専門家に処方してもらうのがベスト

漢方薬は、通販サイトやドラッグストアでもよく販売されています。しかし、体質に合ったものを服用することで体質から症状の改善を目指せる薬なので、安易に選ばずプロに相談するほうが安心です。

たとえば、プロの医師や薬剤師が監修したAIにより、スマホひとつで簡単にあなたにピッタリの漢方薬を処方できるあんしん漢方というサービスもあります。漢方薬は自宅に届くため、利便性の高さも魅力です。

まとめ

柴胡桂枝湯は、体力がやや虚弱または中等体質の方の腹痛や吐き気の症状に用いられる漢方薬です。ただし、むくみがある方や高齢者、高血圧、心臓病、腎臓病のいずれかを診断された方は、医師や薬剤師、登録販売員への相談が必要です。また、体質に合っていないと効果がみられなかったり、副作用を起こしたりするため、プロに相談してから使用することをおすすめします。
 

解説・執筆者
あんしん漢方薬剤師
碇 純子
薬剤師。漢方薬生薬認定薬剤師 。理学博士、薬学修士。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科修了。漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。