加齢による睡眠時間減少や夜間覚醒は“危険信号”
加齢で睡眠時間が減ったり、夜中に目が覚めたりするのは危険信号だという。免疫力の上昇や認知機能の改善にもつながる快眠法を説く1冊が、今回ご紹介する『60歳からの認知症にならない眠り方』(現代書林刊、1650円)である。
英国の研究によると、平日の睡眠時間が6時間以下の人は、約30年後に認知症と診断される割合が30%程度高いという。そんな睡眠不足と認知症との関連を解説し、そうならないための快眠術を1冊にまとめたのが本書だ。執筆した医学博士で日本睡眠学会専門医の中山明峰氏=写真=はこう語る。
日本は睡眠時間“最短国” 睡眠負債は脳を傷つける
「日本は世界最長寿国と知られていますが、一方で認知症患者最多国、さらに睡眠時間が最短国でもあります。睡眠負債は脳を傷つけ、認知機能が低下することは周知されていません。認知症老人を少子化が担わなければならないことは、国益にとっては大きな損失です。睡眠障害の深刻さを知ってください。生活改善で、認知機能の低下は予防できます」
どんな生活が快眠へ導いてくれるのか。本書では午前、午後、夜、そして寝室と、時間帯ごとに、食事のとり方や着替え、昼寝の意義、カフェインの摂取法、入浴など、具体的なポイントを紹介する。このうち、午前中に行うと良いと勧める「5分体操」を紹介してみたい。
認知症を予防する5分体操
- 腰に両手を当てて立つ…カーテンを開け、窓の外に目を向け腰に両手を当てて立つ(脚が不自由な人は座ったままでもOK)
- その体制で1分間ゆっくり深呼吸…1、2、3、4、5とゆっくり数えながら息を吸って一度止めたあと、同じように数えながらゆっくり息を吐く。これを5回ほど繰り返す
- ゆっくり屈伸する…地面から膝までを垂直に、やはり1、2、3、4、5とゆっくり数えながら腰を落とし、同様に元の位置に戻る
- ゆっくり深呼吸する …1分間、ゆっくり深呼吸する
- (1)~(4)を繰り返し、5分たったら終了
充実した睡眠を得るための朝の習慣
朝、起きたら太陽光を取り込み、5分体操をして、熱いシャワーを浴びる。そうすることで自律神経は副交感神経からやる気の出る交感神経にうまく切り替わる。充実した睡眠を得るための1日がスタートできるため、好循環が生まれるという。
日常生活を少し変えることを習慣づけるだけで、年齢を重ねてもぐっすり快眠することはでき、それが認知症の予防にもつながる、と説く。本書を参考に、今年は快適な睡眠ライフを目指してほしい。
認知症にならない1日の過ごし方
<午前>
- カーテンを開ける
- おしゃれをして脳を刺激する
<午後>
- 昼寝がお勧め
- 昼食直後にコーヒーを
<夜>
- 夜のスーパー探訪
- よい睡眠のための風呂に
<寝室>
- よい睡眠のための寝具を
- ぐっすり眠るための香り
※本書から抜粋