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薬もサプリも「さじ加減」が大切、自己判断は禁物

薬もサプリも「さじ加減」が大切、自己判断は禁物
エイジングケア
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薬とサプリの過剰摂取、飲み合わせに要注意

医薬品は病気を治し、サプリメントは足りない栄養素を足すなどして、体を健康に導いてくれます。しかし、場合によっては薬剤そのものの副作用や、過剰摂取、飲み合わせなどが原因となり、健康を害することがあるのです。

当院で栄養評価を行うと、9割以上の方で何かしらの栄養不足を認められます。程度が重症の場合、私も薬剤やサプリメントの処方、栄養指導を行う場合があります。ただ、一般に「毒も薬もさじ加減」と言われるように、何事にも適量があります。例えば「ジギタリス」という薬は心臓の収縮力を強化し、心不全などの症状を緩和する強心剤ですが、大量に飲めば猛毒となって直ちに命を失います。

ビタミンをたくさん飲むと…

アンチエイジングの分野では、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどが有名です。このようなビタミン剤は薬剤なのか食品の一部なのか判然としない面があり、「たくさん飲めば効果も高いだろう」と定められた使用法よりも多く飲んでしまう人もいます。

ビタミン不足(ビタミン欠乏症)はよく知られていますが、ビタミン過剰症はあまり知られていません。水溶性のビタミンBやCは多少過剰にとっても尿として体外に排出されますが、脂溶性のビタミンA、D、E、Kをとり過ぎると体内にたまり、中毒症状を起こすことがあります。

ビタミンAはめまい、不安感、鼻血、頭痛、嘔吐(おうと)、脱力、意識障害などの症状を引き起こし、ビタミンDは食欲不振、口の乾き、倦怠(けんたい)感、頭痛、下痢などの症状が出ます。ビタミンD過剰症の場合、体のあちこちにカルシウムが沈着することがあり、特に腎臓にたまると、尿路結石や尿毒症の原因になります。ビタミンといえども、摂取のしすぎは危険なのです。

お酒で飲むと過剰摂取と同じ状態に

人によっては水を準備するのがめんどくさくて、手元にあるお酒で薬を飲んだことがある人もいるでしょう。

お酒は胃の働きを強め、食物の吸収を促進します。当然、一緒に飲んだ薬も吸収や効果が早まります。これは過剰な薬を一気飲みしたようなもので、命の無駄遣いとなります。

薬の飲み合わせにも注意が必要です。「降圧剤とグレープフルーツ」を併用すると、過度な血圧低下が起こり、頭痛やめまい、動機などが起こる可能性がありますので、運動や運転をする際は特に注意が必要です。

その他、ワルファリンとアスピリンの併用により、血液本来の止血作用が弱められ、出血が止まらなくなります。胃酸分泌抑制薬に含まれるシメジットとぜんそくの薬に含まれるテオフィリンを併用すると頭痛、悪心、吐気などの症状が現れます。

「薬もサプリもさじ加減」です。適切な使用法を心がけて、自己判断で過剰に摂取しないようにしましょう。

薬剤摂取のポイント

  • 脂溶性ビタミンA、D、E、Kの過剰摂取に特に注意が必要
  • お酒で薬を飲むのは、過剰な薬を一気飲みしているのと一緒
  • 薬の飲み合わせを間違えると逆効果になる
解説・執筆者
形成外科専門医
西嶌 暁生
医学博士、形成外科専門医、MBA。1984年7月7日生まれ、富山県出身。形成外科・美容医療の専門医として、10年以上、臨床と研究に従事。2019年から恵比寿形成外科・美容クリニック副院長。著書「だから夫は35歳で嫌われる~メンズスキンケアのススメ」(光文社)が発売中。