健康意識の高まりや、気候変動・食糧問題への危機意識などから、国内でも需要が広がってきているのが「代替フード(次世代フード)」だ。プラントベースフードとも呼ばれるこの食品群、一体どんなものなのか?
注目されるプラントベースフード
「代替フード」「プラントベースフード(以下、PBF)」とは、植物由来の材料を用いて、動物由来の食材を疑似的に再現した食品のこと。主に大豆やえんどう豆などの植物性素材で肉やチーズ、バターや卵などを再現したPBFは世界的にも大きく伸長しており、次世代フードとして注目を集めている。
その背景には、健康志向に加え、世界規模の環境問題・人口問題がある。PBFの世界市場規模は2023年2月時点で1・6兆円ともいわれ、その後も拡大が続いているという。日本市場でも年々増加傾向にある
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市場の広がりにつれて認知度も高まってきた。昨年の調査では、「代替肉を知っている」人は3割を超え、20年調査より増加した。
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進化型代替ミート登場
PBFも進化を続けている。代替肉はその原材料から「大豆ミート」「プラントベースミート」などと呼ばれているが、これまではミンチタイプがほとんどだった。
「そんななか、われわれはスライス肉を目指し、焼肉という形で開発しました。日本では肉=焼肉のイメージなので、焼肉屋に代替肉が並んだら面白いのではないかと考え、商品名もカルビやハラミにしました」
こう話すのは、代替フード開発をリードするネクストミーツ社の佐々木英之代表取締役(43)だ。
同社の製品は牛丼、焼肉丼をはじめ、さまざまな料理に調理され、使いやすい、おいしい、イメージが変わったなどの声が多く聞かれたという。
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現在は業務用に加え、レンチンですぐに食べられる商品や、他企業とコラボしたミールキットなども展開している。また、代替シーフードのツナもラインアップされ、注目されている。
ただ、まだおいしくないイメージを持っている人が多いため、それを払拭すべく、食フェアやイベントでの出品機会を積極的に活用したいと佐々木さんは語っている。
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コンビニで手軽にPBF
17年からPBFの商品を継続的に販売しているコンビニ大手、ローソンの商品本部ナチュラルローソン商品部、中桐崇部長(48)=写真=も最近のPBF市場に手応えを感じている。
「当初はヘルシー、健康志向が軸でしたが、やはり『おいしさ』が難点で定着しませんでした。現在は食材メーカーの改善があり、味が向上し、メニューもバラエティー豊かになってきました」
コンビニ業界では、17年頃から大豆ミートを使用したハンバーグなどの商品が販売され始め、今ではそのメニューも豊富になっている。
そんななか、ローソンは今年7月、新たな試みとして代替卵と鶏卵を使用した2種類のサンドイッチを発売した。今年に入り、鶏卵の供給不足や価格高騰が起きたことも背景だという。
「本物のたまごと食べ比べできれば試してもらえるのではないか、と考えました。味については『鶏卵と同じような味わいだ』と一定の評価をいただきました」(調理パン担当、吉田祐子シニアマネジャー)
各社はPBFの主原料である大豆特有のクセなどを抑えるために、さまざまな工夫をし、消費者に受け入れられる商品開発に力を入れている。食糧事情や環境問題の深刻化が予想される今、PBFは関係者のたゆまぬ努力によって身近になり定着していきそうだ。
大手コンビニが今年度発売したプラントベースフード
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